大江戸監察事件簿

□大江戸監察事件簿37
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真選組副長土方十四郎だ。
今日もいつもと同じように朝礼を開き、連絡ごとや隊士の引き締めなどを行う。
年末が近づいている今、攘夷浪士達も落ち着きのない動きを見せている。真選組も例にもれずテロなどに対する特別警戒週間に突入した。


「以上だ。各自気合入れ直せよ」


隊士たちの野太い声が響く。
次に近藤さんからの挨拶となった。


「ちょっと、人形ヤバイって」
「長!長!」



近藤さんの挨拶中にかかわらず耳に入る声。声を極力絞ったささやき声は逆に耳についた。
おそらくまた人形がとんでもねェツラで近藤さんをなめまわすように見ているのだろうか。


「人形!起きて!」
「長!局長の挨拶でござるよ!」



必死に右隣りにいる山崎が人形の腕を叩いている。左隣には朝から暑苦しい恰好をした全身黒ずくめの忍が人形の目の前で手の平を叩いている。

え?寝てる?


「寝かせておけ山崎」
「しかし長が局長の朝礼中に居眠りなど珍しい」
「写真撮っとくか」
「あ、あとで送って」
「俺もー」
「拙者もー」



さらに隣の忍達が続ける。お前らホント仲良いよな。
というか、人形テメェ朝礼中に居眠りなんざふざけてんのか。

ガンッ

「「「!!!」」」


寝かせていた鞘を強めに立てて起床を促した。人形はビクリと肩を震わせて、うつむいていた顔を上げる。
やっと起きやがったか。
上座と下座で位置が遠いため表情はわからないが、周りの様子からようやく人形が近藤さんの話を聞き始めたことがわかった。





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