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□酒席での戯言
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仕事が終わっての一杯というのは何故こうも美味いのか。その疑問に答える者は誰一人いない。美味いから呑んでいるのだ。
今日は最早恒例になりつつある職場の飲み会である。職場である戦国学園から程近い居酒屋、『戦国大名』で酒席を開いていた。思いがけず沢山の参加者が入り乱れて酒を煽る姿に、他の客は若干引いているようである。
たまには皆と一緒に飲むのもいいと思ったのだが、官兵衛は酒をほとんど飲まない。来ても楽しめないと宣う官兵衛を半兵衛は無理矢理引き連れて飲み会へやってきた。
「かーんべー殿ぉー。せめて眉間に皺寄せるのやめよーよ」
「普段通りだ。なんら問題ないだろう」
「問題ありまくりだよ。ねえ、元就公?」
「そうだねぇ、お酒の席は楽しそうでなくっちゃ」
 先程まで一緒に飲んでいた島津先生は、官兵衛の雰囲気に圧倒され、逃げるように柴田先生のところに行ってしまった。鬼が二人並んで何を語らうのか気になるところだ。
 他の先生達は何だかんだ言いながら思い思いに飲んでいる。一番奥で上杉先生、武田先生、北条先生が話をしながら呑んでいる。最近の話題はもっぱら自分達の教え子(幸村、くのいち、兼続、甲斐)達の事であろうか。
半兵衛は、何とかして官兵衛に酒を飲まそうと奮闘していた。
「ねぇかんべー殿ぉ、一口。一口だけでいいから飲もうよ」
「くどい。飲まないと言ったはずだ」
「なんで〜?」
「酒は好かんといつも言っている」
「もー! 付き合いも大切だよー!?」
 取り付く島もない官兵衛にふてくされた様子の半兵衛。毛利先生は苦笑しながら、「じゃあ、お茶にするかい?」と酒を飲まない方向で話を進める。
「元就公、勝手に何すんのさ」
「半兵衛、ここは一度引いて、相手の出方を見るため待つべきじゃないかな。もしかしたら、事態は好転するかもしれないよ」
 そうそそのかされ、一旦は納得する半兵衛。
 そこに、魔王――もとい、織田校長がお供を連れて登場した。まったく店の雰囲気に合っていない面々。織田校長、徳川教頭、本多先生、浅井先生である。酒を楽しんでいた教師陣は、校長が一言発するのに注目していた。
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