パロディ

□期限付きレンアイ
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昼休みのチャイムが鳴り廊下が騒がしくなる。
(‥そろそろ来る頃か)
斎藤は本を閉じた。

斎藤は高校のスクールカウンセラーを務めている。いわゆる生徒の相談役だが、悩みを持つ生徒など数える程しか来ない。(悩みを持つ人ほど相談しにくいと思うがな)
だから斎藤は気軽に来れる空間作りに努めてはいるが、実際は一部生徒の溜まり場と化している。

「こんにちは、先生」
沖田総司‥この部屋の常連だ。(遅刻魔でサボリの常習犯か)
総司が通い始めてから2ヶ月が経った。
4月も末のある日、相談室のドアが突然開き1人の男子生徒が駆け込んできた。
驚く斎藤に彼は唇に人差し指を当て「かくまって」と言う。ドアの向こうからは怒鳴り声。
(‥何なんだ一体)
斎藤が戸惑っていると、「行ったかな」とドアの前に座っていた少年が腰を上げる。

「助かりましたよ、ありがとう御座います。‥ところでココ何の部屋ですか?」「相談室だがせめて名前を教えてくれないか」斎藤が眉根を寄せて問うと少年は微笑む。
「2年1組、沖田総司です。初めまして斎藤一先生」「俺の名前を知っているのか?」「クラスの女の子達が新任のカウンセラー美形だって騒いでたから」
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