長編
□それぞれの気持ち
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気になってしまうと、意識してしまう
そんなことはねぇ、と言いたいとこ
でもそんなに甘いものじゃないわけ
体育祭も終わり、再び全部活動が始まってから1週間
テニス部も厳しい練習が再会されていた
「お疲れ様ですー!」
なずなは俺の気持ちなんか知ることもなく、いつも通り休憩のタオルとドリンク配りをしていた
「はい、ブン太」
「サンキュ」
「…………」
「…んだよ?」
何故かなずなからじっと見られ、少し早くなる鼓動
「何かあった?」
なずなはこてんと首を傾げてから、不安そうに聞いてきた
エスパーかお前は
「…や、特に?」
「何で疑問系なのよ。
分かるんだからね、嘘ついてることくらい。ブン太が言えないことなら、無理には聞かないけどっ」
部活に支障がないように!と、タオルを頭にかけられた
「なぁ、何で分かるんだ?」
このよく分かんない俺の問いに、なずなは考える素振りも見せずに笑顔で言った
「ブン太だからだよ」
やっべ、今のはきた
そのまま他のレギュラー部員に走っていくなずな
前回の話を忘れたって奴のために話しとくけど、この前の体育祭でまぁ色々あって、俺はなずなが好きなのかもしれないと気付いた
かもしれないっていうか、まぁ…好きなんだ…けど…
好きって気付くと急にあいつが女らしく見えて、今までどう接してきたのかちょっと覚えてない
そんで、どうしていいか分からなくなったこんな俺に対して、ナイスタイミングと思わず言いたくなるような男がなずなに寄ってきた
なずなは鈍感だから全然気にしてないんだろうけど、俺的には大問題だ