長編

□あんたの幼なじみ
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テニスができればいい

それだけだった

親父がここにしたらって言うのも理由の1つだったんだけど

ここには思ってたより、面白い先輩がたくさんいた

レギュラー陣もそうだし、先輩も。あと、新倉とか

女子にしては、テニス上手いと思っただけ。まぁ、まだまだだけどね




「わぁぁぁぁ!」


ドーン………


「はぁ、1人で何やってんの」


時間は放課後

早速図書委員の仕事で、本の整理をさせられることに


「いったぁ……。ご、ごめん、越前君」


整理してるはずなんだけど、散らかってる気がする

何でかって、新倉がこけて大量に本をばらまいたから


「…慌てすぎ…ほら」


自分で持っていた本を一旦テーブルに置いて、新倉に手を差し伸べた

新倉は申し訳なさそうに苦笑して、俺の手を取った

ぎゅっと握り返して、立ち上がりやすいように引っ張る

……軽い、そう思いながら


「越前君ありがと、優しいね」

「…別に、そんなことない。あんただってテニスやってんなら分かるでしょ?」

「…手は大事に、だね!」

「そーゆうこと」

「心配してくれて、ありがとう」

「……別に」


新倉があんまりにも嬉しそうに笑うから、びっくりした

何となく気恥ずかしくなって、顔を反らす

チラと新倉を見ると、未だに笑ってる


「ほら、早く片付けるよ」

「うんっ、そだね」


散らばった本達をまた積み上げてまた持とうとするもんだから、慌ててその手を握った

もちろん、ポーカーフェイスを保ったまま


「あんた転んだばっかでしょ。半分持つから貸して」

「あ、ありがとう。ごめんね、私のせいで図書委員になっちゃったし、部活休んでまで仕事手伝わせちゃって」


今日は部活があった

でもこの本の量はとてもじゃないけど、部活に間に合えるような仕事じゃなかった

だから俺は部活を休んだわけだけど、どうやら新倉は自分のせいだと思っているらしい


「勘違いしないように言っておくけど、別にあんたのせいじゃないから」

「でも、私がこの前巻き込んじゃったから」

「俺が自分で考えて、あんたを助けた。助けなくたってよかったのにね

だから別にあんたのせいじゃない

決まったことにグダグタ言ってどうにかなるわけじゃないし」

「…ありがとう」

「それに、あんただって部活休んだでしょ」

「うっ…ま、まぁ、それはそうなんだけど…」


実際新倉のほうが部活に行きたくて仕方がないって顔してる


「で、でも!
図書委員だし、仕事はちゃんとやらないと!部活部活ばっかじゃ、学校はやっていけないんだもん」


だから頑張ろうね!

と、拳をつくり俺に笑顔を向け、よーし頑張るぞー!と1人で気合いを入れた

ただのテニスバカだと思ってたけど、ちゃんと他のことも考えてる

それだけテニスが好きなのが、伝わってくる


「俺も、まだまだだね「わぁぁ!」……」


言ったそばから転んだ新倉にため息をついた

でも何だか可笑しくて、笑ってしまった




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