長編
□体育祭と恋敵2
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あの時は、俺も嬉しくて…なずなが飛び付いてきた時も抱き締めて…しまいには抱き上げて一回転するとか…
何か…甘い匂いというか…いい匂いしたし……汗かいてたはずなのに
それに、すげぇ細かった
思ってたよりもずっと小さくて、背中なんか力入れたら壊れちゃうんじゃないかってくらい
軽いし……胸…当たってたし…
1回もろに胸は見たことあったけど…やっぱ……でけぇんだな…
無意識になずなを見ていた
瞬間、目があったがなずながすぐに目を反らした
うわ、見てたの気付かれたかな…
「じゃ、じゃあ私は心のとこ行くね!
競技中たくさんフォローしてくれて、あ、ありがとう!」
なずなはそれだけ早口で言うと、急に走りだした
「あ、おいっ!なずな!」
すぐに生徒に紛れて、どこにいるか分からなくなってしまった
なんなんだあいつは…
「丸井くーん!
次、借り物競争でるんだよね?」
「え……おう」
なずながいなくなったと思ったら、急に女子達に囲まれた
この前なずなにひでー目に合わせた奴らもいんじゃねーか
よくノコノコ出てこれたな
「あ、じゃあじゃあ
私丸井君に借りられたい!」
「ずるい!
私も借りられたい!」
「私も!」
何か最近は、こういうファンの奴らが少しめんどくさい
少し前までだったら、応援してくれてありがたいくらいだったのに
[次は、借り物競争です
競技に出場する生徒は、入場門まで集まって下さい]
「んじゃ、俺行くから!」
「頑張ってねー!!」
「……サンキュー!」
違う
おまえらから頑張れを聞きたかったんじゃない
入場門に行って並ぶ
「ブン太っ!」
「っ!!」
急に後ろから呼ばれた自分の名前
俺がこの声を間違えるわけがない
「なずな」
「何びっくりしてんの?
それより!
借り物競争頑張ってね!
負けたらなずなロケットだから!」
何事もなかったかのように笑顔で話すなずなに自然と頬が緩む
そう、こいつからの頑張れが聞きたかったんだ
「おう!」
サンキューと言いながらなずなの頭を撫でると、少し顔を赤くしながら嬉しそうに笑ってた