長編

□熱と看病2
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「………」

「……寝た…か……?」


規則正しい息遣いが聞こえる

よかった、寝たみたいだ


「(まつ毛なっげ……)」


って!
何をやってんだ俺は!

そう思いつつもなかなかなずなの顔から目をそらせない


「(普段もこんな感じで静かならいいのに)」



そしたら可愛いのに



一瞬とんでもない考えが頭に浮かんだ

その考えをかき消すように頭を振った


「…多分起きたら腹減ってるよな」


学校でお腹空いたで起きて、結局何も食ってないし……

やっぱ病人はおかゆだよな

早速作りに行こうと思い部屋のドアまで行こうとしたら


「ん?」


ブレザーを引っ張られた

後ろを振り向くとブレザーを引っ張っていた犯人はなずな


「…なずな、起きてるのか……?」


返事がない

寝てるみたいだ


無意識にブレザーを引っ張られた

まるで行かないでと言ってるかのように



1人はイヤだ、寂しい


そう言った時のなずなは何だか小さく見えて、消えてしまいそうな気がした


なずなの手を起こさないようにゆっくり外して布団の中に入れた


「…飯、作ってきてやるから……待っててな」



シャケとか入れたら美味いかな

梅干しのほうがいいのか…?

冷蔵庫の中をあさる

人様ん家の冷蔵庫だけど今さらそんなん気にしない


作ろうと思った瞬間、玄関のチャイムが鳴った

郵便か何かだと思ってドアを開けたら


「ちょっと先輩!
俺の自転車勝手に乗ってかないでくださいよ!」

「まーくん、心配でお見舞い来たなり」

「新倉の様子はどうた?」


「…んでおまえらがいんだよぃ!」


突然訪問してきた赤也、仁王、ジャッカルに冷たい視線を送る

仁王はまーくん傷つくとかほざいてる

ほんとにきもいな


「なずな先輩が心配だったに決まってるじゃないっすか!」


このワカメうぜぇぞ


「んじゃ、なずなちゃんの寝顔でも拝んでくるかのう」


気付くといつの間にか階段を上がっていた仁王


「あ!こら!」


叫んだ時には時すでに遅い

仁王とその他2人はなずなの部屋に入って行った

せっかく寝たのに起きたらどうすんだ…!


なずなの部屋に静かに入ると横になって静かに寝ていた

うっすら額に汗をかいていて時たま声をもらす


「……なずな先輩ってまつ毛長いですねー」

「なんか…そそるのう、この態勢」

「黙れ詐欺師、死ね」

「ブンちゃん口悪いなり」

「うっせ!」


「………ん」


「「「「!」」」」


小さく声をもらして寝返りをうったなずな


3人でなずなの顔をそっと覗く

よかった、起きてはないみたいだ


「ほら、なずなは寝てんだから下行くぞ!」

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