長編

□熱と看病1
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「んじゃ、いってきまーす」

「「行ってらっしゃい!」」


久しぶりに朝練がない今日はいつもよりゆっくりと準備ができた

母さんと弟達に見送られて家を出ると


「…行ってきまーす」


隣の家に住んでるなずなに出くわすんだ

パッと目が合う


「…はよ」

「……おはよう」


微妙な挨拶をお互いしてからあいつが隣に来るまで待って一緒に学校まで行く

最初は何で一緒にこいつとなんか…って感じだったけど、なんかもう慣れた

こいつも何だかんだ言って一緒に行ってるしな


「………」
「………」


…にしても、喋らねぇ……

普段なら結構話すのに

少し気になって隣で歩くなずなを横目で見る。そして静かに口を開いた


「……今日なんかお前静かだな」

「…ん?」


なずなは可愛らしく首を傾げて俺を見上げた

なんか上目遣い………いや、落ち着け俺


「……また俺に隠し事したら、分かってんだろうな」


一瞬目を丸くしたこいつはすぐにクスクス笑いだした


「…してないよ

ただ…今日は何となく元気出ないというか…ダルいというか…」

「…ダルい?」

「…ん、熱っぽい」

「は!? 何度!?」


なずなの肩を掴んで俺と向かい合わせになるようにしておでこを触る

…ちょっと熱くねぇか……?


「…えと、36.8…かな」

「今すぐ帰れ」

「ヤダ、学校…休みたくない」

「こんなときに意地はってどうすんだよ!

今ならまだ戻れっから」


俺が何度戻れと言ってもこいつはイヤイヤと首を振るだけ


「平気、ほんとに大丈夫だから」


…何言っても帰らなさそうだな


「…無茶、すんじゃねぇぞ」

「ブン太、心配しすぎ」

「うっせ

心配なんかしてねーよ」

「…素直じゃないんだからぁ」


そう文句を言うなずなはやっぱり何だか辛そうで、いつもの笑顔がなかった





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