長編

□でっかいテニスバック
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『すいません

この近くに本屋はありますか?』


「へ?」


登校中に急に話し掛けられた


ほんと急にだ


「ほ、堀尾君

僕英語分からないよ」

「ぼ、僕も」


カツオもカチローもお手上げ状態


「ワ、ワンモアプリーズ?」



カタカナ混じりの英語で
もう1回お願いとかろうじて言えた


俺だって全然英語できないよ


『分かったわ

この近くに本屋はありますか??』


………分からない


どうしよう…


「あ…アイキャンノットスピーキング!」


『喋れてるじゃないっ』


英語が少ししか喋れませんとか

どうやって言えばいいんだ?


ハテナマークを浮かべる外国人の前で

テンパり何が何だか分からなくなったその時



『お姉さん、どうしたんですか?』

俺らの前に
でっかいテニスバックを
持った女の子が現れた


『あら、あなた英語うまいじゃない』


『ありがとう

それで?どこかにお出かけですか??』


『そうそう

この近くに本屋はないかしら?』

『それなら
この道真っ直ぐ行ったら薬局が右にあって

その薬局から2個目の角を右に曲がったら
すぐ本屋の看板が見えますよ』


『ありがとう

とても分かりやすかったわ

じゃあね、お嬢さん』


『気を付けて』


女の子が手を振り
外国人が見えなくなると
くるっと俺らの方に振り向いた


目が大きくくてセミロングの髪


……誰かに似てるような



3人して言葉を失ってると
クスクスッと笑いだした女の子


そのまま俺達の横を通り過ぎた


その通り過ぎる間に


「3人ともまだまだだね」


そうはっきり俺らに言った




……そうだ


あの子、あいつに似てるんだ






(11,08,11)


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