長編

□助けと感謝
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手を振り払おうと思ったけど、さすがはテニス部っていうか男の子

びくともしない

何を言っても無言だったから、私も喋るのをやめて、ブン太に引きずられるだけ

連れてかれたのはブン太の部屋

そこでやっと手を離したブン太は相変わらず私に背を向けたまま無言だ


「……ブン太?」


顔を覗こうとしたら


「お前さ、体どこも痛くねぇって言ったよな

私はいつも通り元気だって」


声的に怒ってると判断した私は、覗くのをやめてブン太の後ろに立ち直した


「…言ったよ
それがどうしたの…?」


急に振り向いたブン太は、少し悲しそうな顔をしてる気がした


「怪我…してんじゃねぇか」

「………し、てないよ」


少しずつ私に近づいてくるブン太

それとは逆にどんどん後ろに下がる私


「………」
「………」


とうとう壁についてしまったは私はもう後ろに下がることも、ここから逃げ出すこともできない

何故なら、ブン太が私の左肩の横に手を置いてるから

強行突破しようと思えば、できないことはないんだけど…

今はやらないほうがいいと
決して__を蹴って逃げるとか絶対ダメと私の中で言ってる


「……左肩、背中」

「……え?」


下を向いてたブン太が顔を上げ、目が合う


「…っ!いっ!!」


急に左肩から痛みがきたかと思えば、左肩を掴んだのはブン太


「……やっぱり」


ゆっくりと深いため息をついたブン太


「………」


私が無言で涙がこぼれないようにブン太を軽く睨んでいると、左肩のとこだけ服をめくられた


「!!」


赤く腫れた左肩が丸見えになる


「…この怪我どうしたんだ?」

「…別に、ぶつけただけ
ってか、触らないでよ」


手を払って服を整える


「ぶつけただけには見えないぜ」

「本当に何でもないから大丈夫」


何かあったとか、誰かにやられたわけじゃないよな?

そう聞かれたけど

もし


あんたのファン達にやられて、マネージャーもやめろって言われた

やめなかったら、右肩も左肩と同じにしてやるって


私がこう言ったらブン太は何かをしてくれるの?

困って悩んで、練習に身が入らなくなっちゃう

それだけは避けたい

迷惑をかけたくない


「私…が、やられるわけないでしょ!

……私、帰るね!
宿題やらないとだし!」

「おい!!
まだ話は終わってな「またね!」…い…」


笑顔をブン太に向けて窓から家に帰った

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