短いお話

□可能性
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好きな人ができました


他校で1つ年上の丸井ブン太先輩


でもその先輩には可愛い彼女さんがいます




「あ、またいる」


「いちゃわりぃーのかよ」



何かイヤなことがあったり落ち込んだりすると、先輩はいっつも公園のブランコに座ってボーッとしてる


「そんなこと誰も言ってないです
 先輩は落ち込んだりするといつもここだから」


公園に入る前に買った炭酸ジュースを先輩に渡して隣のブランコに座る

サンキュッって笑う先輩はどこか悲しそうで


「何かあったら私に言ってください
 何もできないかもしれないけど、話くらいは聞けますから」


私はいつもと同じことを先輩に言う










「……彼女がさ」


しばらくしてから小さく口を開いた先輩


「何か他の男とも付き合ってるっぽいんだよな…」

「浮気…ってやつですか?」


だなって先輩は小さく笑う

そんな顔で笑ってほしくない


「俺の友達がさ何人も見たって
 最初は、嘘だろうと思ってたんだけど、最近あいつ俺を避けてるんだよな

 前までべったりだったくせに急にこなくなったから変だとは思ってたけど…」


こんなとき、私はなんて言ってあげたらいいんだろう

大丈夫ですよ?

元気出してください?

何を言っても先輩を傷つけてしまいそうでなかなか言葉が出ない

その前に、彼女と破局寸前の先輩を見て

悲しい気持ちと

心の底の少し嬉しい気持ちが

ごちゃまぜになってよくわからなくなる





「……先輩!」

「?」


ゆっくり私に向けられる大きい目

「お腹すいてません!?」

「は?」



このときの先輩のあほ面は一生忘れないだろう

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