短歌

□さよなら
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私の目の前からどんどん遠ざかっていく原田さんの背中。
隣には永倉さんと千鶴ちゃんの背。
私の隣には、誰もいない。






さよなら









「居………ない…誰…も。」





目の前の景色がぼやける。




目頭が熱くなり、鼻がツンと痛くなる。




私の頬に伝う暖かい涙。
いつもなら拭ってくれる彼はもう、居ない。





嗚呼、今でも覚えているあの人の声、温もり…





「どうしたんだよ?元気ねぇな…何かあったか?」




優しく頭を撫でてくれた大きくて、無骨な手。





「名無しさん!!!大丈夫かッ!?」





何かしらあると、直ぐに心配してくれる貴方…




私は本気で思ったんだ…





「名無しさん。いいか?誰にも言うなよ?俺の夢はな…」




叶えたいと…貴方の夢を。




でも、貴方は私以外の人と歩むと決めていた…
私を残して…





「俺の夢はな…」





涙は行く宛も無く、唯地面に落ちていく。




好きだった…大好きでした…




思えば思うほど涙が溢れていく…




でも、でもね…叶えるのが私じゃないのなら、せめて願わせて…?




少しくらいなら、いいよね。罪じゃないよね。









さよなら
(来世では叶えていいですか…)
(貴方の夢を)
 

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