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□Happy Birthday
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忍術学園の敷地の隅に、小さな庵がある。
昼間は茶道や書道などの授業に使われているが、放課後は作法委員が集まる。

ヘムヘムの頭突きが、夕刻を告げる頃、庵には座禅を組み黙想する一人の忍たまがいた。
すっと伸びた背筋に、白く美しい首、漆黒で艶やかな髪は頭の上で一つに束ねられている。
立花仙蔵である。
仙蔵は、この静かな作法室を気に入っていて、時間が空くと、ここでひとり黙想することが多かった。

「……。」
いつもなら、座禅を組んですぐに無心になれる仙蔵だったが、今日は明らかに心がざわついていた。

今日はいつもとは違う…。
今日は特別な日だから…。


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