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□vs風魔
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「あ、与四郎! いらっしゃい! 忍術学園まで遠かったでしょう?」
伊作が笑顔で与四郎を迎えた。
「いやぁ、そぉでもねーダーヨ。 それに伊作の顔みたら疲りなんてふっとんじまッたぁに。」
与四郎は、錫杖を床に置くと胡座をかいて伊作が用意した座布団に座った。

「伊作はよく医務室にいるのかぁ? 学園中探したんダ」
「うん。今年から保健委員長やっててさ、顧問の先生が不在の時には任されてるんだ」
伊作は、すり鉢で砕いた薬草を丁寧に薬箱に詰めながら言う。
「ごめん、探させちゃった?留三郎には医務室にいるって言っといたんだけどナ」と言って伊作は苦笑する。

「留三郎にはさっき会ったんが…」
と、与四郎は言うと、顎に手を当てて、少し思案してから、そういうことかぁ。と小さく呟いた。

「ああ! んなことより、伊作。ご注文の…」
と言って手を胸元に入れ
「イモリのカラッカラに干したヤツ、持ってけたヨ!」
と、与四郎は干しイモリが十匹ほど束ねられたものを取り出した。
干しイモリを見た伊作は目を輝かせた。
「有難う!在庫きらしちゃって困ってたんだ。こんなに、いいのか?」
「だぁいじょうぶだ!山野先生にも許可とってあるからヨ」
「うん。もし、風魔の方で薬が足りなくなった時には、いつでも僕に言ってよ。」
伊作はそう言って、干しイモリを薬棚にしまった。

「あ、そうだ!与四郎。イモリのお礼といったらなんだけど、忍術学園の薬草園、見ていかない?」
伊作は振り返って提案する。与四郎は、ふふふふ…と、さも嬉しそうに笑みを浮かべて
「オラが伊作の誘いを断るわきゃネーだーヨ」と返した。






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