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□vs風魔
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シャリン・・・・・・
外で錫杖の音がする。
「アイツが来てるな。また!」
食満留三郎は自室から校庭の方をキッと睨んだ。

チャリ…チャリ…チャリン。
杖の音がだんだん近づいて来てその音は部屋の前で止まった。

ガラリ!
部屋の扉は無造作に開けられた。留三郎は修復作業をしていた手を止めて見上げる。その視線の先には、錫高野与四郎が立っていた。

「おぉ!食満〜!久しぶりだーなぁ?」
デカイ声だ。
「それより、お前、人の部屋だぞノックくらいしろ!」
「なあなあ、伊作は?」
与四郎は留三郎の発言を聞き流して質問してきた。
「伊作は今ここにはいない!」
「って、おまえなぁ!土足で上がんなっ!」
留三郎は与四郎の足元を見て驚く。
「あ〜、すまん。足袋脱ぐンが面倒ぅでなぁ。すぐ行くがらぁ。
なあ!それアヒルの着ぐるみか?可愛ぇ〜なぁ」
「違う!こう見えてもボート船首飾りだっ!」

―――与四郎にはいつもペースを乱される。なんだか、無性に気にくわないやつだ。
だいたい、同い年なのに、俺より背が高い…!
だいたい、俺のことは食満と呼ぶくせに、伊作の事は名前で呼ぶし…!
ノックしないし、土足だし…。

留三郎が拳を震わせて見上げた時には、与四郎は既に何処かに消えていた。






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