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□愚者の弔い
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小平太は伊作を担ぐと、ひと気のない山道を進んだ。
陽が高いうちに亡骸を運ぶには街道では都合が悪いからだ。
それから、休まず数刻ほど歩くと、湖の畔に辿り着いた。

留三郎が眠る場所だ。
名も知らない草花が、太陽の光を受けて一面に咲き乱れていた。

「留三郎を欠いてから、私達の輪に歪みができたのは確かだ。 だけど、伊作、忘れないで欲しかった。
おまえの仇はずっと私達の仇でもあったんだ。 仙蔵と文次郎だってそれは同じだったんだぜ?」

小平太はクナイで掘った土の窪みに伊作を横たえた。


「おやすみ……」


亡骸に土をかけ、ふぅ、と息を吐くと、小平太の周りを一陣の風が通り過ぎていった。
それは、まるで伊作の魂を乗せて天に昇るかのように。







*** 完 ***







2013.5.10
ゆう





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