□それはまるで、 第二部
2ページ/5ページ








〜出会えたひと〜















南海にあるシンドリアとはまた違う潮風が、とある人を探し歩くレイラの鼻をかすめた。

潮風と共にかすめた、荒れた人やすさんだ場所が持つ、独特な爛れた匂いがぴりぴりと鼻腔を刺す。

それに、微かに眉を潜め、一旦ジャーファル君とマスルール君の待つホテルへ戻り報告しようと踵を返す。

荒れ、やせた大地とは正反対に美しく碧い空を仰ぎ見て、ふと溜息を吐く。そして思うのだ。


「シンドバッド様は、一体何処へ行かれたのでしょうか・・・。」

気合いを入れ直すようにもう一度息を吐き、じゃり、と砂をならしながら歩みを進めた。



彼女達が今滞在している国は、バルバッドであった。

我が国シンドリアととても馴染み深い国、バルバッド。

国面積は大陸一小さく、国と言うより都市と呼ぶべき程。

しかし、それはあくまでもこの大陸においてのみの話である・・・

バルバッドは首都こそ大陸におくが、その実体は大小数百もの島々を支配する、大海洋国家なのだ。

バルバッドは、北のオアシス都市群、北東の小国群、西のパルテビアの中心地とあって古来より交易によって栄えてきた。

様々な人種、文化が混じり合い、周辺国とはまた違った雰囲気を持つ国なのであった。



_ _ _ _ _ _ _ _・・・・








ホテルに戻り、見つからなかったとジャーファルとマスルールに告げ、最終手段としていた”全員で探す(マスルールの鼻も可。)”が、発動されたのだ。

ジャーファルに「待っていてくれていいんですよ?」と言われたのだが、人手は多い方がいいと言うことで微笑みを浮かべながら丁寧に断った。

レイラも猛暑の中力を使ったため少しは疲れていたのだが、喉を水で潤し、忍具を確かめてからホテルの入り口に向かったのだった。



二人と合流したあと、誰が何処を探すかを話し合う。そのとき三人の耳に、酷く聞き慣れた声が届いたのだ。

その声が聞こえた方に体を向ける。衛兵に怪しい奴、と押さえつけられている男性が目に飛び込む。

三人は顔を見合わせ、小さく溜息を吐いた。

マスルールが確認するように「いましたね・・・」と呟き、

ジャーファルは目眩を覚えた額に手をやり、絞り出すように話す。そんな彼の背中に手をやりながら、レイラも続ける。

「まったく、何をなさっているんだあの人は・・・」

「ですが、怪我もないようですし、今回は多めにみてあげましょうか。」

しかし、衛兵に取り押さえられる彼をもう一度まじまじと見つめる。レイラの頭に、あの格好は一体・・・?という疑問が広がる。

彼の格好は、いつもの煌びやかな装飾も、ゆったりとした服にも当てはまらない。

何というか・・・大事な部分だけを隠し、それ以上は何も隠されていない格好なのだ。あの姿で町を歩いてきたのだと思うと、彼自身に怪我は無くとも、名誉とか、そのあたりのモノに傷が付いていそうだ。

ばっさりいうと、ただの変態にしか見えないのだ。いくら顔が良くとも、あれは頂けない。

一刻も早く醜態をさらす彼をどうにかしなければと、三人は足早に彼に声を掛けた。

衛兵に事情を説明しにマスルールとレイラが向かい、その間にジャーファルが彼ことシンに説教をしながら話を聞く。

「この二人は、アラジンとモルジアナだ。困っていたところを助けて貰ったんだよ。」



アラジン。



その名前がシンの口から飛び出したとき、レイラははっとしたようにそちらを向いた。

そして、彼の姿を見つけたとき。説明もほっぽり出して駆けていた。

「アラジン!!」

アラジンがその聞き覚えのある声に驚いた時には、レイラは彼を、本当の”わたし”を初めて知ってくれた彼を、抱きしめていた。

「レイラさん・・・?」








_
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ


©フォレストページ