よみもの
□ひとり鬼ごっこ
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逃げちゃいけないって誰が決めたの。
時には逃げることも必要だよ。
励まされた私は怖くなって、逃げないように追い続けた。
追いかけて、追いかけて、追いかけて。
鬼はだあれ。
鬼は私でしょう?
おにさんだあれ。
おにはわたしだよ。
追いかけて、追いかけて、追いかけて。
気がつくとひとり。
追いかけるのも、逃げるのも私。
終わりは疲れてしまうまで続く。
疲れてはいけない。
誰が決めた暗黙の。
自分ではめた足枷を、泣きながら外そうともがく。
何で助けてくれないのというけれど、その鍵を握っているのは私。
優しく、安く、教えてあげて。
寂しくなったら抱きしめるの。
ああ、幸せなんて、どうしても羨ましいんだろうなあ。
鬼は私なのに、来るはずのない鬼に怯えて暮らすの。
底が抜けたばけつじゃあ、水は汲めない。
冷たい水が身体に染みる。
凍りついてしまいたい。
信じたくないの、私はウソつきだから。
傷付きたくない、私は傷付けるから。
離れて、離れたくない。
大好き、大嫌い。
みんな、みんな、大嫌いだよ。