よみもの

□かまきり
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自分じゃないと信用なんて出来なくて
誰かが信じてって言っても、もう分からない。

信じて良かったことなんてなかった。
怖がりな私を誰かが急かして、私はまた嘘つきの約束を交わす。

『私のことは信じてね』
『うん、君のことは信じてるよ』

これで何回目だっけ?

小指で結んだ指きりげんまん

嘘ついたら針千本のーます。

指、切れた?

『何やってるの』
『だって、怖いんだもん』
『いつまでこのままでいるつもり?』
『分からない。でも、一生このままでももういい気がする』
『はあ?』
『だって、その方が楽だもの』

誰も傷つかない、誰も傷つけない、そんな世界はどこにあるんだろう。
まず、存在するのだろうか・・・。

何故、威嚇するのか。
それは、自分が傷つくことを避けるため。
私は、私が傷つかない代わりに誰かを傷つける。

きりきりと、私たちの約束を、かまきりは切っていく。

きりきりと、約束がちぎれる音がする。

もうすぐ、終わる。

私が傷ついた。
でも、これで、誰かが傷つかずにすんだのだろう。

・・・・誰が威嚇したのだろう。


かまきりは、私の心にも巣食っている。

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