よみもの

□ぐちゃぐちゃ
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苛々して、この世界が消えてなくなればいいと思った。

私はぐちゃぐちゃのどろどろした真っ赤な液体の上にいるのに、皆はきらきらした冷たいコンクリートを歩く。

酷く不公平に見えた。

私は警察に連れていかれて、サイレンが鳴る車に押し込められた。
カメラや記者が警察署の前に集まって、蟻のようにうごめいていた。
フラッシュが光って、写真だと思った。
カメラに向かって口を閉じたまま笑ってピース。
次の日、新聞には私の笑顔が写った。

警察官は、私が犯人だと思って疑わない。
頭がおかしいんだって、私。
だから、きっと殺した覚えがない。
そう言って私に手錠をかけると、鉄の棒が並んだ部屋に放り込まれた。

私を汚いものでも見るように見てから、青い警察官の服を纏った犯人が、私を殺した。

(おかしくなったのは、私?)
 

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