恋愛狂騒

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「この前の惨劇から、まだ少しも経っていないというのに…」


頭を抱える太子をよそに、馬子は傷を庇いながら追いつめ続けた。


「目の前で見ただろう?もう何匹目とも分からぬ、化け物の最後を」

「蘇我、」


咎めるような竹中の声を無視して、馬子は続ける。


「あれはお前がつくったのだろう。何度言い聞かせたことか……目を見るな。ただ身体を交え、子さえ残せばそれでいいと言うのにお前と来たら」

「言わないで下さいッ!!」


太子の悲鳴が部屋に響く。


「それ以上……それ以上はもう、思い出したくない…!」

「嫌でも思い出さなければならないさ。そのうちあの惨劇を再現することになるのだよ、妹子殿で――」

「妹子は殺させない!!あいつを殺すのは私が許さない!」







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