恋愛狂騒

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使われていない部屋に入って扉を締め切り、部屋に放置された荷物の山の奥に身を潜める。

ぎゅっと身体を丸めて呻いた。


苦しい。

苦しいんです…。


こんな僕を救ってくれたのはあの人だけ。


「――太子」


助けを求めるような声に返ってくるものは、ただただ静寂のみだった。


「太子なら分かってくれる、太子だけは…僕を……」


身体の熱が治まらない。

心のみの問題かと思えばそうではなく、本当に身体も反応を示しているということに気が付いた。

抑えられない。


ゆっくりと朝服の帯を解き、下着の中へ手を差し込む。

思わず呼吸が荒くなって、無意識のうちにゴクンと唾を飲み込んだ。

吐き出される自分の息が艶めかしい。

指先が自身に触れただけで、身体がビクンと震えた。

既に勃ち上がっているそれに触れたのは左手。

利き手ではない方の手で触れれば、少しでも他人に触られているような感触に近付くと思った。

目を閉じて ゆっくりと扱き上げると、脳は簡単にトリップした。


「…は…ぁ……太子…」


彼の温度、声、触れ方を思い出して。


「はぁ……ん…っ」


嗚呼、僕はこんなに淫乱です太子…。


『妹子、かわいい』


光栄の至りです、太子。


『妹子…気持ちいい?』


すっごくイイです、太子。

もう僕、気持ちよすぎて頭がクラクラして…。


「太子……太子、太子…っ!」


ねえ太子、なんで


返事してくれないんですか?

僕がこんなに呼んでるのに…。

言葉でも、行動でもいいんです。

何でもいいから返事して下さいよ。

僕のこと、好きだって言って下さい。


「ひっ…う……ぐ、太子…っ」


ぐずぐずと泣きながら呻くように喘いで、みっともない姿で掌に白濁を吐き出した。

しばらくシていないせいか、量が多い。


「………」


汚い。

汚いから、これは太子のだと思ってみることにする。


「っ……」


ごく、と喉が動く。

白濁が途端に愛しく思えて、興奮する不思議。

僕は舌を伸ばし、恍惚とした気分で丁寧に手を舐めていた。

指の間、爪先まで舐って味わう。

不味い。

喉がイガイガする。

生臭い。

――たまらない。


「ん…っふ……」


ペロペロと舐め尽くすと、唾液に濡れた その手で再び高ぶった自身を慰めにかかった。

口の中に残る苦味。


「あっ…ん、はぁ…!」


たまらない。

頭の中に色んな太子の姿がよぎる。

どの太子も僕だけを見て、僕だけを愛してくれている。


でも……本物が欲しい。


二度目の絶頂を迎え、呼吸を整えながら考えた。


――夜。

今夜、こっそり太子の部屋に忍び込んでやろう。

太子、驚くかな。

風呂に入りたての、水気もあんまり取らない姿で寝所に押しかけてやる。

太子を誘惑して、高ぶらせて、そのまま朝まで太子と二人っきりでいるんだ。

二人だけの時間、誰にも邪魔されない、甘い時間……。


「ふふ…っ、太子、喜ぶかなぁ……」


待ってて下さいね、僕の大好きな、た、い、し。





*了*






アトガキ


冷たくあしらってごめんな竹中さぁぁぁん!!

おいおいおい…!(古い泣き方ww)


ところで妹子がとんでもない淫乱になってますね…!!笑

そしてやっぱり全然出てこない太子。

可哀想に!

誰の仕業だ全く!


………サーセンwwww

実はまだもう少し出てこない予定なんですよ…←

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