恋愛狂騒

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結局、ヤケクソなのか何なのか、太子は隋に行くことを決意したようだった。

海を越えて隋に渡り、皇帝に会って倭国に帰ってくる。

その間、太子は呆れるほど完璧にアホだった。


「ホンット馬鹿ですね、太子」

「馬鹿って言うな馬鹿って。私は摂政で偉いんだからなこの芋がー!!」


何度繰り返された会話だか。





隋から帰れば僕と太子が一緒にいる時間は一気に減った。










「そんなに怒るなよ…。私、帰ってきたじゃないか…。…あいつ?ああ、あいつは相変わらず、私のことを嫌っているよ……」










こんな奴とは さっさと おさらばしたいって、本当に思ってたのは、どっちだったか。










「妹子殿、妹子殿」

「馬子様?…どうしたんです?」


ある日の昼間、遣隋使の件以来、全く会っていなかった馬子様が わざわざ僕の職場まで足を運んできた。

当然 周りの同僚達は驚いているが、僕はある程度 馬子様を見ることに慣れている。

ちょっとだけ優越感を感じながら、僕は馬子様の方へ行った。


「隋のことでまだ何か残っている仕事がありましたか?」

「いや、その事に関しては君はよくやってくれた。言うことは何もない。だが…」


馬子様は困ったように「どうしようもない」と言う目で後ろを見た。

…太子のような、位の高い者がいる建物の方角だ。


「君しか頼める者が思い付かなくてな。少し……太子の所に行ってほしい」


その時、後ろの同僚がざわめいた。

仕事をこなすふりをしながら僕らの話を聞いていたのだろう。


「太子って……聖徳太子か」

「そんな方のお側を任されるって、妹子…」


ひそひそと後ろから話し声が聞こえる。


確かに太子はどうしようもないアホだ。

一緒にいるだけで疲れるし、カレー臭いし。


「……分かりました。この書類を片付けたらすぐに伺います」


しかし悪い気はしなくって、僕は胸がスッとするのを感じながら微笑んだ。

安心して帰っていった馬子様と、僕を気にしつつまた仕事に戻る同僚。


太子か…。

もうしばらく会ってないけど、一体どうしたんだか。

またカレー臭いとか言われてショゲてんのか?


「ったく……仕方ないなぁ」


思わず笑いながら呟く僕は、まだ気付いていないのだ。





全く、太子には僕がいないと駄目なんですから……





気付くわけがないのだ。

まだここは、自然と起こり得るケースなのだから。





*了*









アトガキ



なんだこのgdgdはと頭を抱えています/(^q^)\

い、妹子が普通すぎる…!!

いや、普通って言うよりは、ちょっと性格悪いですけど(笑)。

いやいや、最初はこれぐらい人間らしい方が後で楽しいじゃないですか…笑

そんでもって太子がすごく不思議な子になっちゃってますね。

次回辺りで甘くなればいいなと思ってます^^(遅い)



【2008/07/27】

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