ボカロ日和

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現代を生きる社会人なら、パソコンとの接触はわりと避けられないものである。

太子もそうだ。

今日も今日とてパソコンを起動する太子は、今日は何だかやけに笑顔だった。


「ふっふーん♪妹子、元気かなぁ」


ウィーン、という起動音と立ち上がるデスクトップ。


「いーもこ!」


呼びかけると、ポーンという小さな可愛らしい音と共にデスクトップの端っこから茶髪のボーカロイドが顔を出した。


「おお、そんな所にいたのか!デスクトップって結構広いの…?」

「そうですね。ウィンドウって結構画面外まではみ出すでしょう?」

「あー、そうだな。色んな窓を見ながら作業したい時はよくやる手段だな」

「ウィンドウが行けるぐらいまでなら僕も行けるんですよ」


にこにこと笑って答える妹子に、太子は感心して頷きながらも心が和むのを感じる。


「うんうん、そうやって笑ってた方が妹子は可愛いなぁ」

「なッ…なんですか急にっ!からかわないで下さい…!」


微笑んだかと思えば今度は顔を真っ赤に染めてそっぽを向く忙しい妹子。


「だってパッケージでも笑ってないもんなー。せっかく可愛いのにさ」


そこでだ、と太子が人差し指を立てた。


「妹子、お前スカート履け」

「………はあぁぁ!?スカート!?」


さっきまでの大人しさは何処へやったのか、素っ頓狂な声を上げる妹子。

さすがボーカロイドと言うべきか、声のひっくり返り方も完璧である。


「うん、スカートだよ?もう出来てるから」

「で、で、出来てるって…!?」


太子はマウスをぐりぐり動かして(その手が大きくて骨ばっていて、「いい手だなぁ」と思ったことを妹子は永遠に言わないだろう)、Dドライブの中からファイルを見つけ出すと、それをドラッグしてきてデスクトップに置いた。


「何ですかコレ?」


瞬きする妹子に、太子はけろっとして答える。


「スカートだよ?妹子の」

「だから何でだよ!?もしかして太子、ソフトのインターフェイス書き換えるほどの技術力を持っているとか…!?」


ソフトのインターフェイスを書き換える。

しかも妹子は動くことができるので、それに合わせて動く可動式でなければならない。

先日言っていた『妹子を使うつもりで色々準備しちゃった』とはこのことなのかと思いながら、妹子は太子の技術力に逆に感心する。



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