SIRENSHORT

□狂気の宮田ホスピタル(裏)
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「私は……八尾さんを信じていたんです…。なのに、八尾さんは美耶子様を…っ」


そこまで言うと、求導師様はあの儀式の様子を思い出したように頭を抱えてしまった。


私達は今、屍人の巣から逃れて休憩をしている。

求導師様は精神的に疲れているみたいで…私も肉体的に疲れていたから。

八尾さんは美耶子様を燃やしてしまった。

隣に座って俯く求導師様の頭を、私はそろっと撫でてみた。


私は求導師様のことが好きだった。

求導師様は私を敬虔な眞魚教信者だと思っているかも知れないけど、私が真面目に教会に通っていたのは、求導師様にお会いするためだ。

そんな私が今、求導師様と二人で行動できていることは…不謹慎と言われるかも知れないけど、この上なく嬉しいことなのだ。


求導師様が塞ぎ込んでいるのをいいことに、隣にくっついて座って頭を撫でていると、求導師様が僅かに顔を上げた。


「…いろは、さん。すみません…こんな、みっともない姿を、見せてしまって」

「とんでもないです。大丈夫ですよ、求導師様」


私は自分が出来る限りの優しい笑顔を浮かべて見せた。


求導師様が事あるごとに八尾さんに縋り付いていたのは知っている。

私は八尾さんを妬んでいたと思う。

私だって、求導師様の支えになってあげたかった。


「いろはさん、私は…怖くて仕方がないんです……八尾さんが…っ」

「…求導師様が落ち着けるまで、ずっと隣にいます。心配しないで下さいね…」


また頭を撫でると、求導師様はついに私を抱き締めた………というより、抱きついた。


「少しだけ…こうさせて下さい…」

「はい」


最大限の優しさで求導師様の頭を撫でて抱き返す。


ああ、好き。

求導師様。

もっと私を頼って下さい。

貴方はきっと、疚しいことなんて考えていないのだろう。

純粋に、恐怖や悲しみから逃れるために私に縋っているだけで。

でもそれでもいいんです。

求導師様のお力になれるだけで、私は嬉しい。


「…求導師様、私は絶対に貴方を裏切りません。一緒に…生きましょうね」

「いろはさん…」

「怖がらないで下さい。私がずっとそばにいますから」


ね?と微笑んで見せると、求導師様は少しだけ安心したみたいで…年下に慰められているのが恥ずかしいのか、顔を赤らめながら頷いた。

求導師様、可愛いなぁ…。


「でも…いろはさんは、私が護らないと」

「え…」

「私のそばにいてくれる…大切な人ですから。もう絶対に、失いたくないんです…」

「…!」


可愛いだけじゃなく、カッコいいんだから。

求導師様のこういうところが本当に大好きだ。


「ずっと一緒に生きましょうね…求導師様」

「ええ…約束です」










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