SIRENSHORT

□狂気の宮田ホスピタル(表)
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赤い雨。

異様な空気。


夜の闇に浮かび上がる、白い病院。


「いろは……私…もう……っ」

「だ…大丈夫だよ!あそこに病院があるでしょ?もうすぐ助かるから!」


いろはは崩れ落ちそうになる親友を慌てて支え直した。


羽生蛇村。

二人でここに迷い込んだのは三日前。

鳴り響くサイレンや得体の知れない敵に怯えながら逃げ延びていた。

しかし親友が瓦礫に足を取られて大怪我をし、何故か傷はすぐに癒えたものの、親友の身体に異変が起こっていた。


「いろは…綺麗な光が見える……死んじゃうのかも知れない」

「駄目!絶対に死んじゃ駄目…!」


大切な親友を亡くしたくないのが半分、独りにされたくないのが半分。

あそこでなら、彼女をどうにかしてやれるかも知れない。

頷くと、赤い水たまりが揺れる土を踏みしめ病院に向かった。


重い扉を開けて中に入ると、院内はシーンと静まり返っていた。

いろはは辺りを見回し、病室を求めて歩き出す。


「もうちょっとだよ…もうちょっとだから、頑張って…」


自分にも言い聞かせるようにしながら友人の顔を覗き込んだいろはは、その表情に「ひっ」と声を上げた。


「ど……どうしたの?」

「いろは…誰かいる……誰か来てる。あいつらが私たちのこと捜してる…!!」

「!?」


いろはには出来ないが、彼女は化け物たちの視界を盗み見ることができた。


「どこから?またあいつらなの?」


いろはは慌てて辺りを見回す。

しかしそれはもう遅くて。


「すぐ……うしろ…」

「!!?」





「急患です………先生ェェ…」





――ゴッ!


頭を勢いよく殴られ、意識が沈んでいく。

いろはの支えを失って倒れ込んだ彼女が、ひっきりなしに叫ぶ声がフェードアウトしていった。




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