SIRENSHORT

□灯台もと暗し
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「…いろはさん」
「はい?」
「よくウチに来ますが、泊まることはありませんね」
「え!?そりゃあ…あんまり遅いと迷惑だし…」

いろはなりにもそんな事を考えるほどには大人だったと言うことだ。
そう言えば、そばにいても仕事は邪魔しないし、何かと気を配って、コーヒーなんか入れたりしてくれる。

考えるのを避けて自分はそんな事も見逃していたのかと思うと、少し自分に嫌気がさした。
これは躊躇っている場合じゃない。

宮田は衝動的にいろはの両手首を捕まえると、ソファに押さえつけ、一気に唇を奪った。

「!?」

驚いて目を見開いてるいろはに啄むようなキスを重ね、ゆっくりと味わった。

「み…やた、せんせ…!」
「ん…っいろは…」

子供子供だと思っていたが、本当は彼女はこんなにも魅力的だ。
あらぬ欲まで湧いてきたことに驚愕し、しかし嬉しくていろはを抱きしめる。

「宮田…先生…っ?」

唖然としているいろはを見下ろす。

「今日は泊まっていくといい。俺も明日は休みだからな」
「泊まる、って」
「子供じゃないなら分かるな?俺の言葉の意味が…」

急にいろはの顔が真っ赤になり、宮田は笑いそうになる。
俯いて「え、そんな」とか「急に」とか「嘘だ」とか「でも」とか呟くいろはの耳元に唇を寄せてそっと囁く。

「俺のことが好きなんだろう、お前は」
「な…っ!」

真っ赤になった挙げ句目に涙まで湛えるいろはに、間違っていないんだな、と笑みがこぼれた。

「み、宮田先生…」
「ん?」
「私…初めてですよ。優しくしなきゃ、先生のこと嫌いになるから」

恥ずかしいのか、怖いのか、嬉しいのか。
赤い顔でボソッと呟いたいろはに、宮田は身体を放してケーキの皿を渡す。

「どうだろうな。本気だから…熱くなりすぎるかも知れない」
「…先生の、阿呆っ」

俯いたと思えば、顔を赤らめて嬉しそうにしている…。
思わずまた笑みを浮かべた。
ああ、愛しいな、…なんて笑みを。


*了*




アトガキ

宮田さんがR指定思考で申し訳ありません!!←

でも多分結局一緒に寝るだけとかな気がします。
ウチの宮田さんは変なところでヘタレなんです…^^笑

宮田さんって自分の気持ちにはきっと鈍いだろうな!と思って書いてみた夢。
なんか多聞と依子っぽくね?って感じですが(笑)。

ところで私の勝手なイメージで宮田さんが一人暮らし設定になってます……すみません!
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