SIRENSHORT

□灯台もと暗し
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「宮田先生!見て、ケーキ!牧野さんに頂いちゃったー!」

今日も勝手に宮田の家に上がり込み、ソファに座ってパソコンを弄る宮田の後ろから身を乗り出しているいろは。
手にはケーキの箱を持って、嬉しそうに宮田に見せている。

「また牧野さんですか…無理に強請ったりしてないでしょうね」
「す、するわけないよ!子供じゃないんだから!」
「俺からすれば充分子供です」
「そりゃ…そうだけど…」

いろははひょんなことから宮田と知り合い、そして何故か懐いて宮田に付きまとっている女子高生だ。
宮田も嫌そうな顔はしているが、十歳近く年下であるいろはに新鮮なものを感じているのか、今では勝手に家に上がり込んでも気にしないほどだ。

いろははパッと顔を上げると箱をテーブルの上に置く。

「早速食べようケーキ!仕事しながらでいいから、ねっ?」

パタパタと台所に走り、あらかじめ用意していた紅茶のポット、皿とフォークとティーカップなどを持ってくる。
勝手知ったる何とやら、だ。

宮田の隣に座り、箱を開けて「どれにしようかな」なんて呟いている。

宮田はノートパソコンを閉じながら俯くいろはの頭を見つめる。


半年ほど前までは、お互い顔すら知らなかった。
それが今ではこんなに近くで、一緒に三時のおやつなんか食べるほどで。

何というか、俺はこいつが好きなんだろうなと、今まで考えないようにしてきたことをやっと認めた。
とんでもなく年下の、しかも学生。
犯罪だろうか?
前途多難な恋に違いない。

しかし。
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