Replica*Doll
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「それじゃあ、…イオン、なんだって急に俺達と話そうと?」
まだ慣れないながらのガイの問いかけに、イオンは相変わらず笑って。
「いえ、三人のお話は陛下から伝書鳩でよく伺っていたので、是非お会いしたくて」
「陛下ですか…どうせまたろくでもない事をお話になったんでしょう」
「いえ、ジェイド。三人ともとても面白い奴らだ!…と、仰っていましたよ?実際に会ってみて僕にも分かりました。とてもいい人達ですね…。ルークにも、先程はお世話になりましたし…」
「おっ、俺?」
いきなり話をふられたルークが背筋を伸ばし、それと同時にアニスが手を叩く。
「そうだった!ルーク、さっきはごめんねー?後でイオン様に詳しく聞いたけど、やっぱり誘拐とかじゃなかったんだね〜」
「ルークがイオンを誘拐!?」
「えっへへ、誤解だったんだけどねー?ていうか、そもそもイオン様の存在も価値も知らないような奴がそんなことするわけなかったしぃ」
「そうか、ルークにはまだグランコクマの外のことは教えてなかったな…」
頭を掻くガイに、ジェイドが笑って。
「最近は剣舞に夢中でしたからねー、あまり勉強する暇もなかったのでは?」
「ルークは剣を扱えるのですか?」
「つっても、ガイなんかよりよっぽど弱っちいけどなあ…」
「そんなことないさ、俺だって少々本気は出さなきゃルークに勝てなくなってきたんだ」
「ホントか!?」
「ああ、ルークは飲み込みが早いからなー。よし!明日は新しい技を覚えような?」
「はいはい、おのろけはもう充分ですから」
「………」
そのまま二人だけの世界に入ってしまいそうなガイを冷静に引き止めるジェイドがいたり。
ガイからの冷ややかな視線は綺麗に無視し、ジェイドは立ち上がった。
「あまり遅くなるといけませんから、私はこの辺でおいとましますよ。イオン様も長旅でお疲れでしょうから、早くお休みになって下さい」
「そうですよぉイオン様!時間は明日もあるんですからーっ!」
「お気遣いありがとうございます。ですが平気ですよ。おやすみなさい、ジェイド」
「そういうことなら、俺達もそろそろ帰るか、ルーク?」
「ん?あ、ああ」
ガイにつられて立ち上がるルークを、イオンが引き止めた。
「あの、ルーク。少しよろしいですか?」
「え…何だよ、イオン?」
「イオン様!?もう部屋に戻りましょうよー」
「すみませんアニス。どうしてもルークに確認したいことがあって…。アニスは先に部屋に戻っていて下さい」
外で待ってるぞ、というガイの声がして、アニスもしぶしぶ部屋を出て行き。
目を瞬き振り返るルークが見たイオンの表情は、先程までとは全く違う、とても真剣なものだった。
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