Replica*Doll

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どうやらイオンは、明日行われるグランコクマの預言の方針について議論する会議に出席するために来たらしい。
そのため詳しい話は明日、ということで、イオンとピオニーの面通しはあっさりと済んだようで。
ルークがもう一度イオンとアニスに会うことになったのは、イオンとピオニーの面談が終わり、もう陽もすっかり暮れた後のことだった。
メイドにガイとジェイドと共に客室へ連れて行かれ、しばらくするとイオンとアニスもそこに来たのだ。

「本当はピオニー陛下が用意してくれた部屋にすぐに行くはずだったんですけどー、イオン様がどうしても皆さんとお話がしたいんです、アニス…なーんて言うからぁ」

突然の来客に驚くルーク達にアニスが説明し、イオンが笑って頭を下げた。


**********


「改めて自己紹介致します。僕はダアトのローレライ教団で導師をしているイオンです」
「あたしはイオン様の導師護衛役のアニス・タトリンでーす!アニスちゃんって呼んでね〜」

律儀に頭を下げるイオンと、語尾にハートでも付きそうな口調で笑うアニス。

「貴方がたは?」
「私はマルクト帝国軍第三師団所属のジェイド・カーティス大佐です。以後お見知りおきを」
「ピオニー九世陛下の側近のガイ・セシルです。それからこちらはルーク。事情があって私の屋敷に居候している者です」

ジェイドとガイが慣れた様子で会釈をする。
一方、ルークはガイの説明がよく分からないまま、何と無く頷いておいた。

「そうですか…皆さんの話は聞いています。ただ、ルーク殿のことはあまり知りませんが…」
「ルークはこちらに来てまだ日も浅いですから、仕方ないでしょう」

テーブルに着き、メイドから出された紅茶を手に首を傾げるイオン。

「事情って言ってましたけど…なんかワケ有りなんですかぁ?」
「大した理由はありませんよー?」

身を乗り出すアニスに答えるジェイドの声は、明らかに“お子様向け”だ。
しかしそれについては誰もあえて触れず、話が進んでいく。

「ルーク殿の赤い髪は珍しいですね。服装もグランコクマではあまり見ませんし…」
「な、なあ、その殿っていうの、やめろよ…ていうか、や、やめて、下さい」
「ふふっ、殿、には慣れていませんでしたか?それではルークと呼ばせて頂きますが…無理に敬語を使って下さらなくても結構ですよ…皆さんも。」
「そ、そうか?お偉いさん、なんだろ?」
「構いませんよ、ルーク」

にっこりと笑うイオンに、ルークも遠慮がちに笑う。
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