Replica*Doll

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『口移しでお願いします』


目眩がしそうだった。

「…本気で言ってるのか旦那…」

またいつもの冗談であることを祈りつつ訊いたが。

「本気ですよ」

語尾にハートマークでも付きそうな口調だった。

「マジか…」
「大マジです。恐らく物を噛むことも出来ないと思いますから、よく噛んでから移して、飲み込んでから口を離して下さい、でないと吐き出す可能性もありますから。最初は飲み込むのに時間がかかるかも知れませんが、根気強く覚えさせてあげて下さい」

ジェイドの話が存外まともであったために、ガイは仕方なしに頷く。

「分かった。やるよ…」
「そうですか、それは良かったです。では手始めにこの水を」
「今からか!?」

ガイはにっこりと笑うジェイドに慌てて訊くが、腕の中のルークがビクッと身体を強ばらせたことに気付き、身体を引いてルークの背中を撫でる。

「あんたも見てるってのに…ていうか何より心の準備が…」
「まあ確かにファーストキスが男同士はお互いキツいものがあるでしょうねぇ…しかしルークの喉が乾いているのは事実ですよ。…なんなら私がしても構いませんが?」
「そっそれは断る!」

慌てて返し、ジェイドから水差しを受け取って直接口に流し込んだ。
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