Replica*Doll
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「そうか、上手くいったか」
「はい、後に軍本部にも報告書を提出します」
謁見の間にて。
二つの玉座の片割れに座るのがマルクト国王ピオニー九世。
通常なら王妃に宛がわれるもう一つの玉座は例によって空白だった。
「…言われなくても分かってるんだがな?」
「そうですか」
初恋の相手ネフリーが忘れられない純な青年。
「それはともかく、ガイラルディア。報告に来るのが予定より遅れた気がしたが、何かあったのか?」
「え…あ、ああ、辻馬車が少し遅れまして」
家にルークを置いてくるのに時間が掛かった、なんてことは秘密だ。
ガイは乾いた笑いを浮かべる。
…さっさと逃げ出してしまいたい。
会話が長引けば長引くほどボロが出る気がするのだ。
ルークを家に放置しているのも心配で仕方がない。
「それでは陛下、俺はこれで…」
「ああ、ご苦労」
胸に手を当てて深く頭を下げ、踵を返す。
早々に謁見の間を出て扉を閉めた…。
…が。
嫌なものに出くわした。
「おや、随分と遅かったじゃないですか、ガイ?」
ジェイド・カーティス。本名はバルフォア、というらしい。