Replica*Doll

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マルクト首都・グランコクマ。

その入り口に立って、ガイはふっと息を吐いた。

「やぁっと着いたな…さて、早速報告に行くか」

ケセドニアで国境を越え、辻馬車に乗ってグランコクマまで。
途中様々な町を経由したが、その至る所でかなり怪しまれた。
なんたって男性を“お姫様抱っこ”する男性だ。
ルークは俺の腕の中で寝たり起きたりを繰り返していたが、起きたところで動かないし喋らないのでは寝ているも同じで、酷い時は死体と間違われた。
どちらにしろ、俺は一人で顔を火みたいに赤くしながら足早にここまで来た。

(ピオニー陛下に任務の報告を…あ。)

ルークの事は。
報告なんかしたら…

(陛下のオモチャになるだろうなぁ…)

溢れるブウサギの中にルークを一人置き去りには出来ない。
想像すると、かなりおぞましい画が拝めた。

(ここはアイツに相談するかなぁ…)

頭の中で一人目星を付けてみる。
…いつでも笑顔で、何を考えているのか分からないあの三十代。

(…不安だなぁ…)

今気付いたが、マルクトは腹黒だらけだ。


***


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