Replica*Doll

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世界ってのは、残酷な事をするもんだ。
表では平和がどうのこうの言ったって、結局光があれば必ず陰ができるように、諸悪はいくらでも存在している。
例えば、花が咲き乱れる明るい街の道を一つだけ横に逸れてみる。
そうすれば路地裏、そこは街の風景からは想像もできない程どうしようもない場所だったりする。
要するに、犯罪犯したい放題。

だから世間は信用したくない。
そう言ったところで世間から逸脱できるわけでもない。
世間なくして、独りでは生きていけない。
だから仕方なく、必要最低限だけ世間に身を置いて。
俺は独りで生きてきた。


***


「…遅く、なったかな…」
陽は西に沈み、空はオレンジから闇の色になろうとしていた。
「これから国境を渡るのか…」
キムラスカでの任務を終え、これからマルクトに帰国する。
そして登城して国王陛下に任務の報告を行い、帰宅する。
「…気が遠いな…」
マルクト帝国陛下ピオニー九世に仕える青年ガイラルディア・ガラン・ガルディオスは頭を掻いて苦笑いを浮かべた。
もっとも、本名ガイラルディアでは名前が長く舌を噛む者が続出するため、ガイ・セシルという名を公用しているのだが。


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