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□Lucifer Item:傘
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Lucifer Item:傘





『天気予報です。今日は朝から全体的に曇り空が広がり、午後から雨が降るところもあるでしょう。皆さん、傘を持ってお出かけください』


朝、テレビから聞こえてくるアナウンサーの声に、支度をする手がぴたりと止まった。

デパ地下のグルメ特集に話題が移ったらしく、賑やかな音声を聞きながら窓の外を見上げる。

どんよりとした雲が広がり、地上へ届くはずの太陽光を遮断している空。

けれど地面が濡れている様子はなく、まだ雨は降っていなかった。


「……」


こういう場合でも、天気予報に従って傘を持つか、それでなくとも折り畳み傘の一つでも鞄に入れておくのが普通だろう。

けれど私は、“外出時に降っていなければ傘なんか要らない”というのが持論……というか、単に傘を持ちたくないだけだが。

確かに雨は情緒があると思うけれど、日常生活を送る上では鬱陶しいだけなので好きじゃない。

傘を持つだけで邪魔になって、気分も落ち込むと言うものだ。

降らなければラッキーだし、降っても何とかなるだろう。

そんな気楽さで、私は玄関の傘には見向きもせずに家を出た。














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