OTHERSHORT
□悪夢のあとの甘い夢
1ページ/4ページ
夜のスラム街に蔓延る悪魔達。
干からびた固い腕が、いろはの四肢を捕まえて逃がしてくれなかった。
『スパーダの息子よ、無様な姿だ…人間如きに心を奪われかように容易く敗れるか…』
不気味な悪魔達の笑い声に背筋が凍る。
残酷な包囲のその中心で、悪魔も泣き出すと謳われたデビルハンターが剣を支えにして息も絶え絶えに立っていた。
『愚かだな。かの有名な半人半魔は予想を遥かに超えて弱かった…』
勝手なことを言うんじゃない。
そう叫びたかったのに、嗚咽が激しくて声が出ない。
容赦なく振り降ろされた悪魔の鎌が彼の背中に突き刺さった。
「――ッ!!」
声にならぬ叫びに声にならぬ泣き声。
何度も繰り返される怒涛の斬撃の下で、彼は地を這いながら血に濡れたアイスブルーの瞳でこちらを見上げた。
「…いろは…」
小さく掠れた声がする。
弱々しく伸びる手は、いろはに到底届かないまま痙攣していた。
「あ…あぁ…ッ」
地面に広がってゆくハーフの血。
「…悪…い……護って…やれ…な……」
――ザン…ッ!!!
「ダンテエエエエェェェッ!!!」