OTHERSHORT

□ときめかせ屋
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あの後、ネロは急に何処かへ出かけてしまった。
いろははキリエとの談笑を続けながらも「この寒いのに」とチラチラ窓の外を見る。

「いろは、ネロが気になるの?」

「うん…私、雪降ってるって言ったよね?この雪の中に出ていくほどの用事があったのかな…」

「さあ…特にそんなことは言ってなかったみたいだけど…」

どうしたんだろうね?と二人が首を傾げたときだった。

――ゴゥーンッ!!

「いろは!いろは!」

「ネロ!?」

部屋の大扉をクレイジーに開けて帰ってきたネロが、全身雪だらけで机の上にドーンとスタイリッシュに何かを置いた。

「…雪だるまね」

「雪だるま…だね」

キリエの言葉にいろはも遅れて頷く。
ネロは肩で息をしながらドカッと椅子に腰掛け、雪だるまを差す。

「お前にプレゼントだ、いろは。有り難く受け取りな」

「ネロ、この寒い中で雪だるま作ってたの!?」

「わ…悪いかよ?」

「悪くないけど…」

何故に雪だるまなのかとは思うが、自分のためにあの極寒に耐えてくれていたのかと思うと嬉しいし、吹雪の中雪だるまを作るネロの背中を想像するとすごく可愛かった。
右手は包帯で吊られているから、当然片手での作業だ。
大変だったろうに…。

なんだか楽しそうにクスクス笑っているキリエと顔を赤くしているネロと机の上に鎮座する雪だるまを見て途方に暮れた結果、いろはは仕方なしに雪だるまをそっと持ち上げた。
やっと温まってきていた手がジィンとまた冷たくなる。

「ネ、ネロ…えっと、ありがとう」

しばらくすれば溶けて無くなってしまうコレをどうすればいいのだろうか。
(早くもポタポタと水が滴ってきている)
部屋に持ち帰ってから…シンクにでも置いておこう。

「それじゃあいろは、私はこれからクレドに用があるから行くわね」

「あ、うん!また話そ――」

「キ、キリエ!それ、俺も行く!俺もクレドに用がある」

「じゃあ一緒に行きましょう」

慌てて立ち上がったネロにキリエが微笑み、二人は部屋を出て行ってしまう。

「…えっと…どうしたら…」




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