OTHERSHORT

□ときめかせ屋
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「う〜っ、寒い!雪、早くやまないかなぁ……あっ、それでねキリエ!」

窓の外は真っ白で、フォルトゥナのそこかしこにドッサリと雪が積もっている。

先程教団に来たいろはは、まだ冷える手を擦り合わせて白い息を吹きかけながら椅子に座ってキリエに向き合った。
机について魔剣祭の書類を手にキリエが微笑み、いろはの話の続きを促した。


「この前 知り合いがプロポーズを受けて結婚することになったんだけど、そのプロポーズの方法がすごかったんだって!2人っきりでディナーに行ったら、そのワイングラスから結婚指輪が出てきたって言ってたよ?ありがちだけど、まさか本当にする人がいるなんてねぇー!」

「ふふ、でも素敵だと思うわ。ロマンチックなプロポーズは女性の憧れなんだから」

「羨ましいよねぇ…女のロマンを分かってる恋人なんて」

二人のうら若き乙女が向かい合ってウットリしている様のなんと初々しいことか。
悪く言えば、青い。

「ワインから指輪なんて…水浸しじゃねえか。酒臭いしな」

少し離れたところで一人で座っていたネロがガタガタと椅子を揺らしながら胡散臭そうな顔で漏らした。
キリエといろはが目を丸くしてネロを見たかと思うと、顔を見合わせて笑う。

「ネロにはまだ早いわよ…あと少ししたらきっと分かるようになるわ」

「Σなッ、それ…キリエ、俺がまだガキだって言いてえのか!?」

「ガキだなんて…でも大人というのも難しいわ。そういう年頃なのよ…」

「ちょ、キリエ、ちょっと年寄りくさいよっ!」

「あら嫌だ!」

冗談を言い合って笑う二人に、ネロが付き合ってられないと頭を振る。
…が、未だに寒そうに身体を縮めて笑っている彼女をチラリと見た。

「………いろは、外は雪なのか?」

「うん、雪も雪、豪雪!積もってるよー。本当寒いんだから!」

「…ふーん…」





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