RKRNSHORT

□報告するまでがオナニ―です。
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男というものは、高校生にもなるとすっかり思春期に突入して、頭の中がエロいことでいっぱいになったりする。

この私、鉢屋三郎も同様である。

エロ本も見るし、AVも観るし、一人で抜くし、友達とも平気でそういった話をする。

その辺、私はクラスの中でも進んでいる方だと思っていた。

親友の雷蔵なんてからっきしだ。

水着のオネエサンが笑顔で寝そべっている見開き1ページ目を見ただけで顔を赤らめて逃げてしまう。

兵助も真面目な奴なのでそういうのには興味が無いし、勘右衛門と来たら不感症を疑いたくなるほど平気そうに笑っている。


そんなわけで、私が唯一猥談を持ちかけられる友人、それが竹谷八左ヱ門だった。


ハチは女の水着とかミニスカとかを見ても普通に反応するし、私の猥談も興味津々といった感じで聞いてくれる。

これぞ健康優良男児。

ハチこそ多感な高校生男児と呼ぶに相応しい男と言える――はずだった。





この頃ハチの様子がおかしい。

休み時間はいつもソワソワしていて、授業になると上の空、しかもしきりに熱っぽい溜め息を吐いている。

大の男がまるで乙女みたいに。

ハチは基本いい奴なのであまり突っ込みたくはないが、正直気色が悪い。


数日その様子を観察していた私は、ある日の昼休み、痺れを切らしてハチに聞いてみた。


「なあハチ」

「んー?」


紙パックのオレンジジュースを飲みながら、窓の外を見ているハチが気のない返事をした。

私は隣の席に座ってハチの顔を覗き込む。


「好きな女が出来ただろ」

「!?」


ハチがバッとこちらを向き、ストローをくわえたまま顔を真っ赤に染めた。

なんだこの乙女反応。

雷蔵がやるならともかく、ハチだと気持ち悪い。


「誰から聞いた!?」

「誰からも。私発信だ」

「だろうな、誰にも言ってねえもん……」


ハチは愕然としながらストローを外した。

さっき驚いた拍子に噛んだのか、飲み口がひしゃげている。

ストローを噛む奴は欲求不満だといわれるが。


「戻せ戻せ。我がクラスの獣が飢えてると女子が怖がるぞ」

「なんだ獣って!大体あれは迷信だろ?俺は信じない」


とか言いつつ、ストローを摘まんで綺麗な丸に戻し始めるハチは素直な男だ。

しかしハチはストローの先をグニグニやりながら、フフンと機嫌良さように鼻を鳴らした。


「迷信だって証拠に俺は飢えてない。三郎の言った通り、好きな子が出来たからな!」


つまり、最近はその子をオカズにして抜いているから悩み無用であると。

私は「ふむ、」と顎に手をやった。


「……ハチが休み時間にしかソワソワしないのは、このクラスに好きな子がいるわけじゃないからだな?でもチラチラ廊下を見てるのは前を通る可能性があるからってことで同じ階のクラス、つまり同学年。木曜五限の古文で5回もあのハゲに怒られるのはハチがずっと運動場を見てるからだ。ハイこれでクラスも特定ってことで」

「お前ストーカーかよ……」

「人より少し素質があるだけですー」


ハチは腕を擦りながら青ざめていたが、これでも私の友人なのですぐに納得したようだ。

話題を好きな女に戻すことにしたらしく、それはそれは嬉しそうに微笑んだ。


「本っ当可愛いんだよ!遠くから見てても可愛いけど、やっぱ近くで見ると格別だな」

「なんだ、話したことあるのか」

「まあな!最初はメアドだけだったけど、番号も教えてもらった!へへっ、次は家だなぁ、うん…!」


語尾にハートでも付きそうな勢いでデレデレと携帯を出してくるハチ。

見れば、アドレス帳にその名前が載っていた。

……奥山いろはか。


「顔は見たことあるな。ハチってああいうのが好みだったのか」

「まあ見た目はそうだけど、性格も可愛いんだよ!おかげで毎晩白熱っつーか……」


ああ、オナニーがか。

ハチは顔を赤くしてデレデレしながら更にモジモジし始めた。


「つか、最近ちょっとハマってる方法があるんだよなぁ……何ならここで実演するんだけどよ」

「……すまない、てっきりオナニーの話だと思ってたんだけど」

「え、そうだろ?」

「いや待ておかしい!ここでオナるのはまずい!言っておくがここは教室だ」


何言ってんだコイツは!

野郎のオナニーなんて見たかねえよ!!


「奥山が好きなのは分かるが冷静になれ……」

「何だよお前らしくねえな!そこで見ててくれるだけでいいんだよ!」

「それがただひたすらに嫌なんだと何故分からん!?」


あのいい感じに純情でスケベだったハチがおかしくなってしまった……!

何故だ!?

私のせいか!?



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