ボカロ日和
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「ほら太子、履いてあげましたよ」
「………妹子、」
顔を上げた太子の目が見開かれる。
「お前…」
「な、何ですか。折角履いてあげたんですから、感想無しなんて駄目で――」
「か、可愛い妹子!!」
「!?」
いきなりディスプレイ越しに迫ってきた太子の顔に、妹子は咄嗟に後ずさる。
ちなみにこのデスクトップは奥行きも結構あるのだ。
「うんうん、流石は私がデザインしたスカートだな!可愛いよ、妹子!」
恥を忍んで履いた以上、何らかの反応は返してほしいと思っていたが、ここまで褒められると恥ずかしい。
「…も、もう脱ぎますよ、太子…」
「えぇー!?ズボンは脱がないのか!?」
「脱ぎませんよ!!こんな短いスカートだけなんてやってられるか!」
「だって妹子、それじゃあ寒いからって校則破ってスカートの下にジャージ履いてる女子高生じゃん!!それも可愛いけどやっぱり生足見たいんだけど私…!」
「ななな生足言うな寒気がする!男の生足見たって面白くないでしょう!?」
「頼む妹子!ジャージ脱いでくれ!」
「駄目です。一生のお願いでスカートを履けとは言いましたが、その下のジャージを脱げとは言わなかったでしょう?」
「おま…狡賢い奴め……!」
「仕方ないんですよ」
妹子は邪魔っけにスカートを摘んでヒラヒラさせる。
「僕、足がありませんから」
「………はい?」
またしても爆弾発言だ。
なんだか、妹子は大人しい顔をしながら「音痴だ」とか「男だ」とか「足がない」とか結構爆弾を投下している気がする。
「ジャージの表面は作られてますけど、その下の足はただの棒みたいなもんなんですよ。ジャージを脱ごうものなら中身が見えることになりますけど、それでもいいですか?」
「やめてええええぇぇ!!ごめん!私が悪かったからそんな怖いの見せないで!!」
両手で顔を覆ってキャーキャー言っているオッサン。
「そういうわけですから、諦めて下さいね太子」
そう言って、妹子はまた落ち着いたようにフォルダにちょこんと座る。
「…あれ?妹子、スカート脱がなくていいの?」
「え?…ああ…」
そう呟いた途端にまた顔を赤くする妹子。
「太子が一晩かけて作って、一生のお願いを使ってまで履かせたものですし…別にいいですよ」
「妹子…っ!」
「ただ、たまには…言って下さいよ。このスカートについて…」
「何を?」
「か、感想とかですよ!当たり前のようにずっとスカートを履いてるなんて嫌じゃないですか!」
「ああ、なるほどな」
太子は納得したように顎に手をやると、にこりと笑って頷いた。
「うん、可愛いよ」
「………ッ!それでいいんですよ、それで!可愛いってのはもうこの際気にしないことにしますから!」
太子は「うんうん分かった分かった」と嫌にニヤニヤしながら頷く。
「明日には妹子の足もしっかり出来てるから安心しんしゃい」
「また一晩力んでインターフェイス変える気ですか!?」
「妹子の生足拝むの楽しみだなー!」
「やめろーーーー!!」
しかし翌日、何を間違えたのか、妹子の足ではなく腕が剥き出しになっていた。
「ノースリーブのジャージって…ッ!僕が何をしたって言うんだ……」
「くそーっ、なんで足じゃなくて腕かなぁ…まあ可愛いからいいけど」
早くもそろそろ太子に付き合うのがダルくなってきた妹子だった。
*了*
アトガキ
こうして小野音妹子は完成しました。笑
10万打お礼のボカロ日和のイラストにも描いてあるのですが、実は妹子はジャージの上にスカートを履いているのです…。
あんまり目立たないのですが、気付いて下さった方がいて感動しましたwww
妹子にはどうしてもスカートを履かせたい!と思って履かせてしまった…。
ピン付きネクタイは聖音太子とお揃いですが、耳当て型のヘッドホンも特殊ですね。
他の子たちは普通のヘッドホンなんです。
強いて言うなら耳に装着しているのかヘアバンド型なのか、ですね!
妹子は勿論、あと芭蕉さんもヘアバンド型です。
他の子たちは耳に直接…。
………あ、そう言えば、もう一人ものすごく特殊なコスチュームを着ることになるボカロがいます。
書くのが今から楽しみですジュルリ…!!←
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