リクエスト小説

□アニーの勘違い
1ページ/2ページ

「はあ・・・・」


それは、突然の事だった。


溜息などめったにつかないヒルダが、溜息をついているのだ。


今日のヒルダはいつもと違う。


どこかと聞かれると困るが


何かが違う事を、アニーは感じていた。


その事を、ヴェイグに話すと、「気のせいだろう・・・・」


の1言で済まされてしまった。


1人で悩みを抱えるアニー。


そんな中ヒルダは相変わらず、溜息をついている。


思い切って聞いてみましょう・・・。


そう思ったが、話しかけられる雰囲気ではない


そんなことをアニーが考え、迷っている中、ヒルダがポツリとつぶやいた


「はあ・・・・ サレ・・・・・」


思わぬ言葉が、ヒルダの口から漏れた為


アニーは凄く驚き、そして、1人動揺している。


(ま、まさか、ヒルダさんが、サレさんのことを好きだなんて・・・・)


(でも、同じお城にいた者同士、何か通じるものがあるのかも・・・・・)


アニーの妄想はどんどん膨らんでいく


(もしかしたら、両思いなんでしょうか・・・)


(会えなくて、寂しい思いがあふれたんでしょうね、きっと)


(ああ、愛し合う2人が戦うなんて、神様はなんて罪深いのでしょう・・・・)


アニーの妄想は、まだまだ続く


(結婚式は挙げてるんでしょうか・・・)


(それでああやって、夫(サレ)の身を案じているんでしょうね)


(子供までいるのに、可愛そうに・・・・)


暴走しまくっている妄想は、もはや、誰にも止められなかった。


いや、むしろ、暴走している事すら、誰にも気づかれていない


「心中お察しします・・・・。」


暴走しまくったアニーは、ヒルダにそう声をかけた。


「はあ? いったい何の事?」


アニーの妄想が、暴走してる事など


まったく知らないヒルダは、面食らっている。


「いえ、何も言わなくても分かります! 頑張ってくださいね!」


「言ってる事が良く分からないわね。 何を頑張れっていうの?」


「分からなくて良いんです。


私はヒルダさんの気持ち、良く分かりますから」


「あんた、何か勘違いしてない?


あんたが分かってて、私に分からなくてどうするのよ。」


もっともな意見であるのだが、アニーはちっとも気にしてなかった。


「そんな事ありません!!


ヒルダさん、本当はご自分でおわかりのはず
です!」


アニーは、何を根拠に自身を持って、そんな事が言えるのだろうか・・・


「何を勘違いしてるのか、分からないけど。


あんたの思ってる事とは違うわよ。」


「そんな事言わなくても分かってます!


私たちの事は良いですから、早く行ってあげてください!」


「はあ? 行くってどこに行くのよ?」


「サレさんと、子供達の所へです。


きっと待ってらっしゃいますよ。


あちらへ行っても仲良くしてくださいね。」


「あんた正気? なんで私に子供がいるのよ しかもサレとの間に」


「ご結婚されてるんでしょう?」


「何でそうなるのよ!」


「誤魔化さなくても良いんですよ。 私たちは平気ですから。」


「〜〜〜〜〜。 話になんないわね。


これ以上話しても、埒があかないわ。」


「そうでしょうか・・・。


私には、ヒルダさんが素直でないようにしか思えません。」


いや、どっちかというと、アニーの方が強情だと・・・


「何か言いましたか? 作者さん(怖い笑顔)」


いえ、何でもありません。


「あんた・・・作者を脅してどうすんのよ・・・・」


ヒルダは、思いっきり呆れ返っている


「とにかく! あんたの考えている様な事は無いわ。


私は、サレとも結婚してないし、子供もいないわ」


「でも、さっき『サレ』って呟いてたじゃないですか!」


「ああ、あんたにあれ聞こえてたの。


それでサレがどうのこうの言い出したのね。」


「違うんですか?」


「ええ、違うわ。


あれは『サレ』って言ったんじゃなくて


『アルサ・レフィーヌ』って言ったのよ」


「え・・・・・・」


アニーは可愛そうなくらいに固まったという・・・・    完
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ