ぷれみあむめにゅう【頂き物】
□月光の円舞曲-Waltz-
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§Prologue§
――いつか法を正すから、今は我慢して死ねっていうのか!
ユーリの言葉は間違っていなかった。 やり方はどうであれ彼の行動は、絶望の淵に追い込まれた人々に、幸福と安息をもたらしたのだから。
だけど――
――そうやって、君の価値観だけで、悪人すべてを裁くつもりか!?
それを咎めるフレンもまた、間違っていない。
分かっている。
だからこそ、余計に分からなくなる。
わたしはどうすればいいのだろう、と、二人が言い争う近くの木陰に身を潜めながら考えた。
考えて。
考えて、考えて…。
それでも分からなくて。
――オレのこと、怖いか?
そう彼に問い掛けられた時、わたしは肯定も否定も出来なかった。
しかし、一瞬びくりと震えた肩。
握り締めた拳。
無意識だったその行動が、混沌したわたしの心情を明確に示していた気がする。
それを、ユーリが見逃す筈もなくて、
――嫌ならここまでにすればいい。フレンと一緒に帰れ
胸に突きつけられた冷たい口調。
まるで、一方的にわたしをつけ放すように。
でもそれが、ユーリの精一杯の優しさだったのかもしれない。
そして、寂しさだったのかもしれない。
そう気付いたのは、いつのことだっただろう。