すぺしゃるめにゅう【捧げ物】

□手を繋いで
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だから手を繋いで歩こう?
二人いつも一緒に



「どうしたんだい?パティ。
さっきから機嫌が悪そうだね」
ぷっくぅ、と頬を膨らませて歩く少女に、
フレンは不思議そうに声を掛けた。
「べっつに。
何でもないのじゃ」
つーん。
取り付く島の浜辺も見えない。
今日は二人で買い物当番。
手を繋いで宿を出た時のパティは、
確か機嫌が良かった筈だ。
機嫌が悪くなる理由に、
全く心当たりがないフレンだった。

「どうしてだろう…」
なんて、ぶつぶつ呟く青年に目を遣る。
聞こえているというのだ。
本人は独り言のつもりなのだろう。
心当たりが全く思い浮かんでいない、
という事も腹が立つ。
二人で宿を出た時は、
少しは恋人らしいデートっぽくなるかも、
なんて期待したというのに。
「困ったな」とか言いながらちっとも困ってなさそうなのも、余計に腹が立つ。
迷惑ではなさそうだし、
暫くこのままでいてやる、
と心に決めるパティだった。
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