中・長編

□月姫:2
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「ついて来るのは構わないけど、
みんなの邪魔だけはしないでくれよ?
さっきも言ったと思うけど、
みんな忙しいんだ」
次々と周囲に駆け寄る騎士達に指示を出しながら、淡々とフレンは言う。
「ガキじゃねえんだよ」
「子供じゃないから言ってる」
不意にフレンを呼ぶ声。
声のした方を見れば、
歩み寄って来るジュディが見えた。
が、抱えてんのは…。

「ジュディス、どうしたんだい?」
「………夕べからずっと、泣き止まなくて。
眠らせるんだけど、
起きるとまた泣き始めるの」
「…べったりに懐いてたから。
やっぱり分かるんだね、
君に似て聡い子だから…」
あなたに似たのよ、と軽く笑い、
そこで初めて俺に気付いた様だった。
「あらユーリ、いらっしゃい。
顔を見るのは久々ね」
「あ、ああ。…ジュディ、それ、」
「ああ、あなたは初めてだったわね。
レイというの。
“希望の光”と言うんですって。
レイ、おじさんに“初めまして”は?」
「…ひっ、く、ぅく、」
「……ごめんなさい、今ちょっと…、」
困り顔のジュディの腕の中で、
顔も上げない子供の髪は、
ジュディと同じ色をしていた。
「いや、フレンの子か?」
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