夢小説


□悪循環、停止。
1ページ/1ページ



ピンポンピンポーン。

とあるマンションの一部屋のインターフォンを連打する。

『誰?』

うるさいとでもいいたげな声がインターフォンから聞こえた。

「私。」

開けてよ、また、連打。

鳴らした音はがちゃりと開くドアにより掻き消されて、懐かしい愛しい顔が出てきた。

「…久しぶり」

除く顔は相変わらずの無表情。

入れば?
ドアを全開に開いて片手で部屋の中へ招かれた。

言われなくても入る気だった私は靴を乱暴に脱ぎ、ソファーにぼすっと座った。

座った部分が温かくて、さっきまでユーリスがここに座っていたことが分かった。
だが彼はあのドアから離れない。
後ろに感じる視線が、冷たい。

何も言わずに私を見つめるユーリスは怒っていた。

理由は簡単。
私が約束を破ったのだ。

『一ヶ月、離れよう。』

私から言い出した言葉。
私には仕事があり、彼には学業がある。

大詰めな仕事が入っており、しばらく会えないことを告げると彼もテストが近づいているから調度いいと承諾したのだ。


しかし私はその約束を後2日だという時に破った。


「自分がしたこと分かってる?」

呆れたようなため息と一緒にユーリスは隣に座った。
背中をソファーに預け、足は組んで、手は…私の髪へ。

「後2日…我慢出来なかったわけ?」

くすりと笑うユーリスを横目で見ればもう怒ってないようだ。

図星を当てられた私はユーリスの肩に頭をおいた。

最初の一週間は平気だった。
仕事に集中出来て、やる気が出て。
久しぶりに仕事が楽しかった。

二週間が立てばそれは一気に低下した。
いつの間にかユーリスで頭はいっぱいで何度も携帯を開いては閉じてを繰り返した。
いつもの楽しくない仕事に戻っていた。

それでも我慢した。
彼は学生で、勉強をして私と同じ会社に就職すると張り切っていたのだ。
そんな彼の邪魔などしたくない。

ずっと我慢。
ひたすらに我慢した。

なのに。
そのがんばりさえも自分で台なしにした。


「貴方にしてはよく頑張ったほうじゃないかな。」


優しく頭を撫でられた。

会いたくてしょうがなかった。
携帯をにぎりしめながらずっと我慢した。
でも、もう抑え切れなくて。

気がつけばインターフォンを鳴らしていた。

「僕、明日テストなんですよ。」

いきなり強調するように明日がテストだと告げるユーリス。


「そのためにずっと勉強してた…」


撫でる手はすべるように顔や腰に。


「僕、いつから我慢したと思います?」


ソファーに預けていた背中が浮いて、ずしりと私に傾いた。



「貴方と約束をした時からですよ。」



無邪気に笑う彼の手が服の中へ進入した。





すべて身につけていた服はユーリスに剥がされて、恥ずかしさを隠すようにユーリスに抱き着いた。

気をよくしたユーリスがさらに中へ入ってきて体が跳ねた。

「来てくれてよかったよ」

色っぽい吐息を吐きながらゆっくり揺れ動くユーリス。

朦朧とする意識の中でにこやかに笑うユーリスが見えた。

「来てくれなかったらきっとこんなに優しく出来なかった。」


「もう離れるとか言わないように激しく抱いて壊してあげようと思ってた。」


「でも…必要なかったね。」


「嬉しい。」




ぎゅ、と抱きしめられてなんだか申し訳なく思えて。


今日はいっぱい名前を呼んで愛を叫ぼうと決めた。









(離れたら逆に仕事進まないんじゃない?)

(勉強だって休憩必要なんだから傍にいてもらわなきゃ困るよ。)

(次離れたいとか言ったら閉じ込めちゃうよ?)


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ユーリスに執着しすぎて一回離れた方がいいと思ったら逆効果でした、な話。

ユーリスは約束を破った事に怒っているわけではなく、離れたいといった主人公に怒ってたんです。

わかりにくいですねスイマセン。
敬語でユーリスに攻められたかったとか、そんなんですスイマセン。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ