夢小説


□愛に溺れて。
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暗い洞窟の中、水溜まりをばしゃばしゃ歩く二人の姿。

まるでお揃いを着ているかのように真っ赤に染まった服。

まだ暖かさが抜けない血がぼたぼた体を伝う。

歩く道は凹凸が激しい。
柔らかくて歩きにくい。

それでも黙って私とクォークは歩き続けた。

握った手を離さずに。

やがて光が見えてきて歩く速度が速まった。
いつまでもここにいたらむせ返る鉄の臭いで狂いそうだ。

光に包まれるように私達は洞窟から出た

海の、匂い。
ふと横を見れば青い面が広がっている。

夕暮れ時な海は複雑な色をしていた。

ぐい、と腕を引かれて進んだ先は見ていた海だった。
まだ肌寒い季節。
さすがに海へ遊びに来る人はいなく、この場所には私とクォークだけだった。

素敵。

赤いクォークと複雑な海。

似合うな、と思った。

するりと絡めた手とクォークが離れてしまった。
ゆっくりと海へ進むクォーク。
一歩、また一歩と海へ沈んでいく。

それを止めることなく
ただ見惚れたまま立っていた私。

腰まで沈んだクォークはくるりと私の方を見て、いつものにやりな笑顔ではなくふわりと笑って私に手を差し出した。


「おいで。」


優しい声でいわれてさっきまでの罪悪感が消えてしまった。

ずぶりと、大股でクォークに近づいた。
クォークより小さい私はたどり着いた時には胸下あたりまで沈んでいた。

濡れた手で、赤く染まった髪をかきあげるクォーク。
綺麗。彼には赤が酷く、似合う。

惚れなおしたか?なんていつものにやりとした笑顔でクォークは言う。

リザードの集団を二人きりで全滅させた
それはあまりにも残酷だった

楽しくて殺すわけではない。
生きるために殺すのだ。

頭の中で何回も呟いた言葉。
それでもやはり罪悪感は拭えない。

肉を切る感触。
温かい鮮血。
転がる体。

きっとクォークも同じ気持ち。
昔の私達をリザードと重ねてしまうのだ

ただ殺されるのを見ていた私達。
斬られる寸前にクォークが殺してくれた


「やめろ。」


思考を遮断するようにクォークは私を抱きしめた。

「考えるな。」

強く抱きしめぐい、と下にひっぱられた

ぼちゃん

いきなり視界が真っ青に変わり息苦しい
まるで汚れた心が浄化されているようにこびりついた血が海へ浮かんだ。

クォークの顔についた血を撫でるように拭った。

ゆっくり近くなるクォークとの距離。



冷たい海の中で温かいキスをもらった



沈む青い世界の中で赤に包まれる私達。

息継ぎなどお互いの息でかまわない。


溶けて一つになって、このまま沈んでしまいたい。


愛おしい気持ちをただキスに込めて

すべてが浄化するまで、ずっとこのまま




闇に溶けた空と海。

再び絡めた手。

お揃いじゃなくなった服。

まだ冷たさが残る雫がぼたぼた体を伝う。


歩き出した私達は

昨日あった事、明日やりたい事。

笑いながら話し合って


仲間達が待つ、酒場へ足を進めた。










 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
甘…?
さすがにリザード退治続けたら罪悪感ぐらいは持つんじゃないかと。

ただ海でいちゃいちゃしてほしかった

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