short
□わたしの
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「てめぇが朝っぱらからヤろうなんて言わきゃ神楽に嫌われることもなかったのに!どうしてくれんだ!」
「てめぇだって乳首吸われて気持ち快さそうにしてたじゃねぇか!だいたいてめぇが―――」
「……なにしてるネ」
無事にウチに帰ってこれた。
安心するのとは別に、コイツのおかげで迷わず帰れたことが少し悔しかった。
「旦那、チャイナ捕獲してきやしたぜぃ」
「かっ、かぐらぁ〜!よかった!俺のこと嫌いか!?嫌いになるなよ、お前に嫌われたらたら俺どうしたらいいんだよ〜!」
「…銀ちゃん、近いアル」
「ホラそうやって!お父さんが嫌いな年頃なのか!?そうなのか!?」
すごく必死な銀ちゃんが少しおかしくて、しょうがないから他に聞こえないくらい小さい声で大好きって言ったあげた。
「かっ、がぐら゙ぁぁぁ」
「サービスしてやっただけアル!こんくらいで泣かないの」
「自分は泣いてたくせに」
「サド!おめぇ殺すアルよ!」
振り向いた瞬間、あの男と目が合った。少し気まずそうな、申し訳なさそうな顔をしてる。
わたしは穴が開くくらいジーッと男を観察した。
「お、おいチャイナ、その、今朝は、「しょうがないから認めてやるネ」……あ?」
「ただし条件があるネ。ウチに来るときは必ず酢こんぶをわたしに上納するヨロシ!」
「神楽?」
「そうじゃなきゃ坂田家のパピーとしては認められないアル」
「…………!」
「わかったカ!ニコチンコ!」
「……ああ、ありがとうチャ、…神楽」
名前を呼ばれた瞬間なぜかすごく切なくって、嬉しくって、銀ちゃんに抱き着いた。
涙が出るかと思った。
わたしにも愛を分けてくれたことが、すごくすごく、嬉しかった。
「――ありがとな、神楽」
銀ちゃんのやさしい、あったかい声が耳を柔らかく通っていく。
わたしの大事な人で
わたしの大好きな人で
わたしのパピーであり
わたしのお兄ちゃんでもあり
わたしの一番
そんな銀ちゃんはわたしのことを“かぞく”と思ってくれていて、嫌われたらどうしたらいいかわかんないくらいわたしが大事。
それだけで、十分かもしれない
「銀ちゃん、」
「ん?」
ほら、こんなに近くで輝いてる。
わたしの おひさま
end.