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□サヨナラ、
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サヨナラ、





「もう玄関で見送り出来ねぇな」

そう言うと、土方は寂しそうに笑って気にすんなと言った。
万年床から見上げる土方の顔は少し窶れていて、けれどやっぱりきれいだった。

土方は仕事の合間を縫って俺のところへ来てくれる。
毎日毎日、1時間もいられないけれど、それだけで十分だった。

「……具合はどうなんだ」

「………さぁ、どうだろ。でももう起き上がれねぇの。笑っちまうだろ?」

笑ってくれよ土方。
そんな顔は見たくねぇよ?

そう言ったら可笑しいかな。
お前にそんな顔させてるのは俺なのに、笑って欲しいだなんて。

「……病院、行く時声かけろよ。そんなんじゃガキ共大変だろ」

「へーきへーき。怪力娘がいるから。あと眼鏡」

「いいから呼べ。わかったな」

「………ハイハイ」

本当はもう病院なんて行かなくていいんだけど、土方には黙っておく。

俺は土方が居ないところで死にたい。お前がめちゃくちゃ頑張って仕事やってる時に、俺は静かに最期を迎えたい。新八も神楽も、みんな泣いてくれると思うけど、お前の涙は見たくない。
だって、こんなもう死んじまったような体に鞭打って、お前の涙を拭ってやりたくなる。
―――死にたくなくなる、だろ?

「―――じゃあ、俺もう戻らねぇと」

「うん。わりぃないつも」

「……バーカ。当たり前だろ」

横たわる俺にちゅっと小さなキスをする。抱きしめ返す力もないこの腕が憎らしい。

「……ひじかた」

「ん?なんだ」

お前のその顔を見ると、俺の方が泣きたくなるよ。
本当は俺を見るのも辛いくせに、毎日毎日やってきて、他愛のない話をして、キスして帰って行く。その間にお前の満面の笑みなんてなくて、どこか力のない、そんな見たくもない笑顔で。

なぁ 笑って


「笑ってくれよ、土方」

「銀………」

「冥土の土産にすっからさ」


笑えなくしてるのは自分なのに


「…っ、そんなこと、いうんじゃねぇ」

「お前は、これから所帯持って、ガキ作って、」

「何言ってんだ……っ!」


自分だって笑ってないのに


「ガキにデレデレで、奥さんに頭上がんなくて、………そうやって当たり前に生きてくんだ」

「てめぇが俺の生き方を決めんじゃねぇ!」

「………そうやって、笑って生きていって」


だから俺の分も

お前が笑って生きて





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