short
□雨宿り
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雨宿り
「走れ!」
雲行きが怪しくなってきたかと思うと、さっきまでの晴天が嘘のように突然夕立になった。
少し公道から外れた田んぼ道を、泥を撥ねさせながら走る。
「くそ!これだから田舎は!」
「土方!あそこのバス停で雨宿りしようぜ!」
「元はといえばテメェがアイス食いたいとか言わなきゃこっちの道通ることなかっただろーが!」
「うるせぇな!えど屋のアイスが食いたかったんだよ!いいから走れよ!」
バシャバシャと音をたてながらバス停に着くと、雪崩込むように二人でベンチに倒れる。
「ハァッ、ハー!疲れたぁ!」
「たっく!テメェのせいで濡れたじゃねぇか!馬鹿!」
「俺のせいか!?」
ザーザーと音を立てて強くなっていく雨に、会話もどんどんなくなっていく。
雨音だけとなったバス停に、少しの間が空いた。
「…止まねぇなぁ」
「……ああ、そうだな」
空を見上げながらぽつりと呟く。ちらりと土方を見ると、俺と同じように空を見上げている。
あー………やっぱコイツ格好良いなぁ。
付き合っててもキスもまだだし、つーか友達?歴のが長くて甘い雰囲気とかないし、なんか俺だけが好きみたいだ。
―――手、繋ぎてぇな
まだ空を向いてた土方に気付かれないように、そっと、ベンチに置かれていた手に、自分の手を重ねた。
「………ぎ、銀時?」
「うっせぇ……っ!黙って、つっ、繋がれてろっ」
「……………」
「み…見んな!馬鹿や――っ」
ちゅ、
「―――なっ!」
「……可愛すぎんだよ、馬鹿」
…あー、もう
そんな照れた顔も格好いいとか!
顔を真っ赤にしてそっぽを向く二人を、雨上がりの太陽が照らしていた。
fin.
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雨宿りの二人*初音ミク