short
□Life
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Life
鼻をくすぐる甘い匂いがする。
俺の好きな、アイツの香り。
その香りの強い方へ顔を向け、鼻をすりつけると、髪をサラサラと梳かれたような気がする。
「…土方?起きたのか?」
「んー………」
暖かい、ふにふにとした感触が頬に弾力を伝える。
きもちいい。
もっと強く感じたくて、手でそれを揉んだ。
柔らかくて、でも俺の手の内で形を変えてはすぐにもとに戻る。
その弾力を楽しんだ。
「オイ、てめぇ起きてんだろ!太もも揉んでんじゃねぇ!」
揉んでいた手がパチッと叩かれる。しかたなく、手の甲に重ねられた手を取ってぎゅうっと握った。俺のより小さいそれは、手の中に収まり軽く握り返してくれる。
「……なんだよ。今日は甘えん坊なんだな」
優しい声。
少し呆れたような、そんな声。
久しぶりの甘い時間に嬉しくなって、握った手をより一層強く握り、反対の腕を腰に回して引き寄せた。
「ふふ………かわい」
コイツがふにゃりと微笑った気がして、顔が見たくなった。
重たい瞼をゆっくり開けると同時に、コイツのふわふわの髪が首のあたりをくすぐった。
そして、
ちゅ、
頬に柔らかくて、優しいものが触れていった。
今のでぱっちりと目が覚めてしまい、可愛いことをするコイツに仕返ししようと、ガバリと起き上がる。
「なっ!?おまっ、起きて…」
「もう少し寝てようと思ったんだけどな。お前があんまり珍しいことするから目が覚めちまった」
「アホ!!今すぐ忘れろっ!」
「ふっ……まぁ、お前のが可愛いけどな」
「―――っ!?」
腰に回していた手を後頭部に移動させ、ぐいっと引き寄せる。
真っ赤に染め上がった顔をギリギリまで見つめ、唇に触れる瞬間までその可愛さを堪能した。
end.